カテゴリー「猫丸しりいず」の記事一覧

★お知らせ 「猫丸しりいず」は第145回以降吉祥寺クラシック館ブログに移ります

永らくご愛読頂いております「猫丸しりいず」ですが、筆者猫丸の異動に伴い、今後は吉祥寺クラシック館ブログへの連載となります。第145回「展覧会の絵」を既にアップ済みでございます。
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http://blog-kichijyouji-classic.diskunion.net/

尚、これまでの連載分(第1回~第144回)は引き続き新宿クラシック館ブログへの掲載となります(吉祥寺のブログからのリンクもございます)。
今後とも「猫丸しりいず」をご愛読よろしくお願い申し上げます!

 
 

 

★猫丸しりいず第144回

★猫丸しりいず第144回
 
◎オネゲル:ラグビー
 
 ジャン・フルネ指揮 オランダ放送フィルハーモニー管弦楽団
(国内DENON COCO70425/ジャケット写真)
 
◎ミヨー:ニューヨークのフランス人
 
 アーサー・フィードラー指揮 ボストン・ポップス管弦楽団
(国内TOWERRECORDS/BMG TWCL2017 *廃盤)

 
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クラシックを聴き始めの頃、実に強い印象を受けた曲がオネゲルの「ラグビー」。
曲自体の面白さもさることながら、「スポーツを素材にしたクラシックの作品がある」という事実が、当時の自分にはとても新鮮だった。
 
「スポーツもの」の曲と言えば、ドビュッシーの「遊戯」(テニス)、マルティヌーの「ハーフタイム」(サッカー)等々が頭に浮かぶ。ショスタコーヴィッチは審判の資格を持っている程のサッカー好きであったようだが、私の知る限りサッカーがネタの曲を遺している形跡が無いのは残念。
 
「スポーツもの」が近代以降の作曲家の作品ばかりになっているのは必然であって、サッカー、ラグビー、テニス等が今日のような「競技」「興行」としての形を確立したのは19世紀後半以降の事。今日親しまれている「スポーツ」は(その起源は古くとも)意外にも歴史は浅いのだ。
 
高校生の時、クラシック好きの友人宅で、ラグビーの試合のビデオとオネゲルの「ラグビー」を同時に流してみるという実験を試みた事があるのだが(つくづくヒマ人だ)、そのギクシャクした角張った音楽が実に映像とピッタリフィットしていて驚かされた。同時に「サッカー」のビデオでも同じ実験を試みたが、こちらはかなり違和感があった。この曲はラグビーそのものを「描写」したものとは言えないのだが、それでいてラグビーの独特の「動き」をうまく捉えているのはオネゲル先生、サスガである。ご紹介のフルネ盤は選曲、演奏、録音、価格の4拍子揃ったおススメの一枚。
 
さて、その後私を更に驚かせたのは、アメリカや東アジアでは大きな人気を誇るが世界的には「マイナー」と言って良いスポーツ、「野球」をネタにした曲をヨーロッパの作曲家が遺していた事である。それが「ニューヨークのフランス人」。「パリのアメリカ人」をひっくり返した冗談のようなこの曲、1963年のガーシュウィン生誕65周年にRCAビクターがミヨーに委嘱して生まれた作品。こういう作品を依頼するところは実にアメリカっぽいし、それを引き受けるのも実にミヨーらしい。
 
この珍作はニューヨークの様々な情景を素材にした6曲から成る組曲なのだが、結びの6曲目が「ヤンキー・スタジアムの野球」という曲なのである。曲頭のオーケストラの咆哮はスタジアムに響く「ワーッ」という観客の歓声の描写だろう。その後はガッチリしたフーガ風の音楽となり、このユニークな組曲を壮麗に締めくくっている。まあ、この曲から「野球」をイメージできるかは聴き手次第という感じではあるが・・・。私は結構「イケてる」んじゃないかと思うけど。
この曲がタワーレコードの企画盤でまさかのCD化をされた時は狂喜乱舞したものだったが、残念ながら現在は廃盤の模様。作品誕生の経緯が経緯だけに、新録音は望めないのか? だとしたら残念な気がするが・・・
 

 

 

 

★猫丸しりいず第143回

●猫丸しりいず第143回

◎ルーセンベリ:街のオルフェウス、交響曲第3番 他

サー・アンドリュー・デイヴィス指揮 ロイヤル・ストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団
(フィンランドFINLANDIA 3984-29719-2)

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知られざる名曲の宝庫、北欧。今回はスウェーデンのヒルディング・ルーセンベリ(1892~1985)が登場。

この人の作品、一言で言って「モダン」である。スッキリと見通しの良い響きで、混沌とした感じや晦渋さが無く、しかも守旧的な古臭さも無く、近現代的なスパイスがピリッと効いている・・という感じ。聴きやすさとモダンさのバランスが中々絶妙で、地元スウェーデン以外での認知度があまりに低いのが惜しまれる作曲家だ。

彼の最高傑作がバレエ曲「街のオルフェウス」(1938)。このデイヴィス盤のライナーの解説によれば、ノーベル賞授与式の会場として知られるストックホルムのコンサートホール前に建つブロンズ像「オルフェウスの泉」からヒントを得て生まれた作品らしい。

ある夜、このオルフェウスの像がいきなり「本人」に変身してストックホルムの街に降りてしまう。早速オルフェウスは夜の街に繰り出して、エウリディーチェを探しに行ってしまい(笑)、何と目出たく彼女と再会(爆笑)。二人でナイトクラブに出かけ、タンゴとかを踊ってしまう。そして最後はオルフェウスは何食わぬ顔で?またもとのブロンズ像に戻りましたとさ、という実に荒唐無稽で笑える筋書き。エウリディーチェさん、アンタこんな北欧の街まで何しに来てたんですか、とインタビューしたくなってしまう。渋谷駅前の「ハチ公像」が「本犬」に変身して夜の渋谷を散歩した挙句、また元の像に戻りました・・なんてバレエをどなたか作ってもらえないだろうか。

この曲、プロコフィエフのバレエ曲を近代フランス風味に味付けした・・・みたいな感じで、
キレの良いリズム、シニカルなのにどこかお洒落な雰囲気等々、この時代に作られたバレエ曲の中でも屈指の傑作と思う。最近スヴェトラーノフのライヴ盤が登場したのには驚き。この隠れ傑作の認知度アップに繋がってほしい。ただ、この盤はメインはサンサーンスの交響曲なので、私としては1枚全てルーセンベリで固めたデイヴィス盤を矢張りおススメしたい。

デイヴィス盤は演奏、録音とも傑出した素晴らしさ。カップリングされた「交響曲第3番」「ルイヴィル協奏曲」もルーセンベリの持ち味が大いに生きた名作で、「オルフェウス」が気に入った方ならきっとこの2曲もお気に召して頂けると思う。ちなみに「ルイヴィル協奏曲」はアメリカ、ケンタッキー州のルイヴィル交響楽団からの委嘱作。このオケ、モノラル録音の時代から様々な国の作曲家たちに新作を依頼し、それを初演、録音して自主制作盤として出してしまう・・という果敢な活動を行なっている団体。近現代の多くの重要な作曲家たちが委嘱を受けているが(黛敏郎の作品もとりあげている)、今でさえ国際的にはメジャーとは言い難いルーセンべリに作品を委嘱したルイヴィルのスタッフの慧眼には
驚くばかりだ。

まさに「多士済々」というコトバがピッタリの北欧の音楽界。「北欧しりいず」は、まだまだ続く・・・・

 

★猫丸しりいず第142回

★猫丸しりいず第142回

◎ショパン:ピアノ協奏曲第1番・第2番

フー・ツォン(P) ムハイ・タン指揮 シンフォニア・ヴァルソヴィア
(ベルギー TARENT  SRM025LP  ※LP)

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「アナログ・レコードの復権」という話題を最近耳にする機会が増えた。

CDが本格的に普及したのは(この「猫丸」でも以前触れたが)私が大学生の頃で、私はそういう意味では「最後のアナログ世代」である。

CDが登場した時は、その鮮明な音質や高機能に大きな衝撃を受け、アナログレコードは早晩「骨董品」の類になってしまうだろう・・と私は確信したものだ(実際CDの登場当時はそういう論調が支配的だったように記憶している)。ところが、実際はCDの出現から四半世紀が経った今でも(市場規模はCDに遠く及ばないとは言え)アナログレコードはしぶとく生き残っている。いや、それどころかレコード全盛の時代を知らない若い世代の間でも、最近アナログ盤独自の魅力に惹かれる人が増えているのだと言う。

実際、私も職場でアナログレコードに日々接してつくづく感じるのは、アナログレコードにはCDとは全く異なる魅力があり、それは「利便性」に駆逐される類のものでは無いという事だ。状態が良ければ50~60年前のレコードでもアッと驚く素晴らしい音を聴かせてくれる。特に、アナログレコードで聴かれる事を前提とした時代の録音は、CD化された時にありがちな不自然さや窮屈感が無く、実に伸び伸びとした良い音で鳴るのには驚く。

アナログの復権という情勢を反映してか、最近は「LPの新譜」もいろいろ現れるようになっている。そんな中から、我が国にもファンの多いピアノの巨匠フー・ツォンの盤をご紹介。

フー・ツォン(1934~)は上海出身。同世代の小澤征爾らと共に、世界的に活躍する東洋人演奏家の先駆けとなった偉大なピアニスト。1955年のショパン・コンクールに入賞。しかしその後中国で起こった文化大革命で、文学者だった彼の父は母と共に自殺に追い込まれ、フー・ツォン自身も祖国への帰還の道を閉ざされるという大きな苦難に巻き込まれる。その後、彼はイギリスを拠点にして活躍。その名声、実力の割に録音の数は多くなく、その分一つ一つの録音が貴重であるが、今回ご紹介の盤は彼にとって最重要なレパートリーであるショパンの作品、2曲の協奏曲をワルシャワのオケと共演したもの(1989年の録音)。全く奇をてらわないオーソドックスな表現ながら、その演奏の味わいは「サスガ!」という他
無く、またアナログならではの落ち着いた響きが誠に快い。

尚、共演指揮者のムハイ・タンも確かツォンと同じ上海出身ではなかったか。私の記憶に誤りがなければ、カラヤンに才能を見出されてベルリン・フィルにも客演、その後ヨーロッパを中心に活躍しているベテランだったと思う。日本のオケにも客演し、聴き手に大きなインパクトを与えている。中国出身のクラシック演奏家の「大御所」と言える2人の共演という、実にマニア心をくすぐる録音でもある。

ちなみに当新宿クラシック館のレコードコーナーでも、この盤は好評販売中!!
ご試聴用の盤もご用意いたしておりますので、是非「味見」を・・・
それにしても、登場当初は栄華を誇ったCDも、今やパッケージメディアそのものの衰退と共に凋落の一途。ひょっとしたら、アナログレコードの方が永く生き続ける事になるのでは・・・という気さえしてしまう。
ああ、諸行無常。

★猫丸しりいず第141回

●猫丸しりいず第141回

◎ヴァレーズ:砂漠、イオニザシオン 他

ケント・ナガノ指揮 フランス国立管弦楽団 他
(海外WARNER APEX 2564620872)

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いわゆる「現代音楽」を語る上で、新ウィーン楽派の3人と共に絶対外せない巨人がフランス生まれのアメリカの作曲家エドガー・ヴァレーズ(1883~1965)。

「十二音技法」とかとは別の切り口の、言わば「ノイジー系」現代音楽の元祖と位置付けられ、後輩の作曲家たちに絶大な影響を与えた(フランク・ザッパも信奉者であったらしい)この人。私は実はヴァレーズという作曲家の存在を、クラシックを聴き始めたばかりの中学生の時には既に知っていた。

それはなぜかと言うと、当時読んだ芥川也寸志氏の本の中にヴァレーズの事が取り上げられていたからである。芥川さんがニューヨークに行った際、リンカーンセンターでバーンスタイン指揮の現代音楽のコンサートを聴く機会があり、その時にヴァレーズの代表作である「砂漠」が演奏されたのだが、過激でノイジーな音響が多くの聴衆の反発を買い、口笛や怒号で場内は騒然となったそうだ。やっとの事で演奏が終わり、バーンスタインが会場の2階の最前列を指してヴァレーズ自身の臨席を聴衆に知らせると、非難の叫びとそれに反発する賛成派の叫びが同時に湧き上がり、場内の混乱は頂点に達した。そして、その時の情景を芥川さんはこう書いている。

『その怒号の中で、にこやかに微笑みながら立ち尽くしていた白髪の老作曲家の姿は、
私には涙の出るほど素晴らしく、誰よりも偉大な人物を目撃しているような感激で身体中が熱くなってきました。』

同時代に生きる作曲家同志としての共感と敬意に満ちたこの名文に、私は大いに感動してしまった。俄然ヴァレーズに興味の湧いた私が入手したのがメータ盤(DECCA)。肝心の「砂漠」が含まれていないのが残念ではあったが、カッコ良いジャケットも気にいって購入。聴いてみると確かに騒々しくはあるのだが、ロックにも通じる痛快さに満ちていて面白い。中でも打楽器アンサンブルによる「イオニザシオン」はインパクト充分で、何回も繰り返し聴いてしまった。1920~30年代に早くもこういうカッ飛んだ作品を生み出していたというのは偉大の一言。尚、この名演名録音のメータ盤が現在入手困難な模様なのは実に残念。

「砂漠」を含むヴァレーズの主要作を網羅し、価格もお手頃のおススメ盤と言えばナガノ盤。この指揮者らしく、いかにも「ゲンダイオンガクやってるぜ!」的な力みかえった感じの無いスマートでクールな演奏。オケの明晰な響きも相まって、「過激」「騒音」といった切り口で捉えらえがちなヴァレーズの作品が実は意外なほどに「洗練」されている事に気付かせてくれる。それにしても「砂漠」は最早60年前、「イオニザシオン」に至っては何と80年も昔の作品である。これらの作品が未だ「ゲンダイオンガク」と呼ばれているのは考えてみれば不思議な話。音楽における「現代」って、一体どういう意味なのだろうか??

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