★猫丸しりいず第123回

★猫丸しりいず第123回

◎チャイコフスキー:大序曲「1812年」
 
アンタル・ドラティ指揮 ミネアポリス交響楽団 ミネソタ大学ブラスバンド
(国内DG UCCG3861~2)

 
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 恐らく皆が若い頃苦労したと思われる、学校の歴史の授業の「年代の暗記」。
 
「鳴くよ鶯、平安京」とか、今思えば涙ぐましいほどの語呂合わせで必死に覚えたものだけど、クラシック・ファンなら「1812年」「1905年」「1917年」に何が起こったかは即座に解る筈で、我々クラシック好きはチャイコフスキーやショスタコーヴィッチには大いに感謝しなければならないだろう。
 
中でも最も有名な「1812年」。今更とは思うが、ナポレオンのロシア侵攻と大敗北を描いた作品で、ベートーヴェン「英雄」、コダーイ「ハーリ・ヤーノシュ」と並ぶ「クラシック音楽界
三大ナポレオンモノ楽曲」の一つ。天気予報でお馴染みの「冬将軍」というコトバを生んだ事でも知られるこの事件から、今年2012年は200周年に当たる。
 
この曲は、その1812年の戦いの際に焼失したモスクワの大寺院が70年後の1882年に再建された時、その再建祝いとして作曲、演奏されたものとの事。つまりは「イベント用音楽」で、作曲者自身もこの曲に関してはあまり高い評価を下していない。まして、その後も自身の代表作の一つとして長く聴き続けられるとは思っていなかったのではないか。
 
「1812年」をここまでポピュラーにしたのは、その後の「録音」という技術の発明と、その進歩である事に疑う余地は無い。曲中のあの「大砲」と「鐘の音」をどう聴かせるか・・・という点は、優秀録音が売り物のレコード会社には格好のアピール材料となる事もあって、ステレオ録音の普及以降、この曲の録音は激増した。大砲の音の凄まじさで一世を風靡したエリック・カンゼル指揮の盤がテラークという新興レーベルの名を一躍轟かした事をご記憶の方も多いだろう。
 
もともとバカバカしい曲(笑)だけに、この曲の録音は中途半端ではダメである。「どうせやるなら徹底的に」という姿勢が無いと、聴いている方が白けてしまうからだ。その点でまさに「歴史的」名盤と思えるのがドラティ指揮のマーキュリー盤。1958年というステレオ最初期の録音であるにも関わらず、総合点でこの録音を上回るものは今後も現れないのでは無いか・・と思われる程の素晴らしさだ。この録音、演奏者、製作者たちの気迫がビンビンに伝わってくる。前々回にとり上げたハンソン指揮の「乳母車の冒険」他の盤でも触れたが、この時期のマーキュリーの録音には「手間とカネを惜しまず、良いものを作り上げる」という姿勢が感じられる。大砲や鐘の音のド迫力、ティンパニやシンバル等の打楽器
の音の立ち上がりの素晴らしさは、新しいデジタル時代の録音と比べても全く遜色が無い。
数が多い割に「帯に短しタスキに長し」的な録音が目立つこの曲において、ドラティ盤の優位が揺らぐ事は無いだろう。それにしても、現在は同じユニバーサル傘下にあるとは言え、この録音がDGレーベルで出ている事にはヘンテコ感が拭えないが・・
 
余談だが、この曲の「裏名盤」と言えるのがストコフスキーがロイヤル・フィルを振ったDECCA盤。とにかく最初から最後まで反則技の連発で、好き嫌いがハッキリわかれる演奏なのは間違い無いが、ドラティとは全く違う意味で「徹底」を極めたこの演奏、とても90歳近い爺さんのモノとは思えない。ストコ御大、偉大すぎます。怪人指揮者の「渾身の冗談」的なこの天下の迷演&名演。是非貴方も一聴&卒倒して下さいまし。
 
diskunion新宿クラシック館 祝・牛丸20歳

 

 

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