★猫丸しりいず第126回


●猫丸しりいず第126回
 
◎小林亜星/アニメ・トラック・アンソロジー
 
 西六郷少年合唱団、大山のぶ代、前川陽子、野沢雅子、堀江美都子 他
 (国内テイチク TECD-25488)
 
◎ストラヴィンスキー:春の祭典
 マイケル・ティルソン・トーマス指揮 ボストン交響楽団
(国内DG UCCG5083)
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前回、渡辺浦人・岳夫親子をとりあげた際、自分の「音楽体験の原点」に如何に昔のアニメ・ソングが深くかかわっていたか、を我ながら再認識してしまった。そこで、今回はもう一人の「元祖アニソンの巨匠」小林亜星をテーマとしたい。
 
 亜星さんは俳優、タレントとしても大活躍したが、そのあまりの多芸ぶりがかえって作曲家としてのこの人の凄腕に目を向ける機会を奪っているような気がするのは皮肉だ。亜星さんの凄い所は単に「名メロディメーカー」というだけでなく、あらゆるスタイルの音楽を果敢に自作に取り入れて消化し、素晴らしい作品に仕立てた・・という点。間違いなく「天才」と呼んでいい作曲家である。
 
今思えば私は「ひみつのアッコちゃん」から「ワルツ」を、「魔法使いサリー」から「ディキシーランド」を、「親ゆびトム」から「ジャズ」を最初に「学んだ」のだった。他にもマンボ、ルンバ、ブギウギ、チャチャチャなど実に様々な音楽を駆使した色とりどりの作品群をまとめて聴くと、この人の多才ぶりに驚嘆されられる。
 
私が亜星さんの最高傑作と確信するのが、ご紹介の盤の冒頭に入っている「狼少年ケン」。
この曲は様々な形にアレンジされて親しまれているので、若い世代でもご存じの方が多いと思うが、私に音楽における「リズム」とか「ダイナミズム」というモノを最初に叩き込んでくれた名曲である。
猛烈なパーカッションの連打が血を沸騰させるような興奮を巻き起こすが、それをベースに歌われるメロディは実に流麗で爽やかで、その対比が素晴らしいスピード感を生み出す・・・という、まさに離れ業というか「天才の仕事」としか表現しようのない名作だ。この曲に合わせて流れるオープニングの映像の疾走感がまた素晴らしかった(今でもYouTubeで見る事が出来るので、興味のある方はどうぞ)。「いつも元気に雄々しく、強いオイラはくじけない」という歌詞も大好きだったなあ・・・。ちなみにこのCDに収められた音源は、テレビとは別テイクでテンポが若干遅く、猛スピードのテレビ版に比べやや疾走感が弱いのがわずかながら惜しい。
 
その後「ガイーヌ」とか「カルミナ・ブラーナ」とかのリズムを前面に押し出したクラシック作品を初めて聴いた時の興奮は、全て自分の中では「ケン」が原点になっている。そして、その系列の作品で外す事の出来ないのはやっぱり「春の祭典」だろう。
私は「火の鳥」「ペトルーシュカ」を先に聴いていて、自分の中でストラヴィンスキーってこういう曲を書く人・・というイメージが既に固まっていた。加えて「春の祭典」なんていうタイトルだったものだから、私は例えばドビュッシーの「管弦楽のための映像」みたいなカラフルでホンワカした曲をイメージしてこの曲に最初に臨んだので、実際に曲を聴いた時には大変な衝撃を受けてしまった。
 
思うにこの曲の「春の祭典」という邦題は結構「超訳」っぽい。英語のrite、仏語のsacreというタイトルは、それぞれ「儀式」とか「奉献」という意味合いが強くて確かに曲の内容を正確に表してはいるのだが、「春の奉献」というタイトルはさすがにイケてない。 「祭典」というコトバを充てた人はそれはそれで中々素晴らしいと思う。ともあれ私はこの名作に熱中し、銀座のヤマハでブージー&ホークスの高価なフルスコアまで買ってしまった程であった。
 
星の数ほど録音のあるこの曲には名盤も多く、どれを代表選手にするかには本当に迷った。この曲の凄さを教えてくれたマルケヴィッチ&フィルハーモニア(EMI)や高校生の時に発売されてまさに一世を風靡したデイヴィス&コンセルトへボウ(PHILIPS)、爆笑の大怪演マゼール&ウィーン・フィル(DECCA)等の盤にも大いに惹かれつつ、結局最も「狼少年ケン」的な名盤として若き日のM・T・トーマスの録音をご紹介する事とした。
 
この盤、1972年というこの指揮者のキャリアの最初期の録音の一つだが、とにかく彼のドはずれた天才ぶりを見せつける大傑作。この上なく「野蛮」でありながら同時に「流麗で爽やかでスピーディで後味抜群」というこの演奏の特色は、まさに「狼少年ケン」とピッタリ重なるではないか。同時期に彼の録音したオルフ、ガーシュウィン等のアルバムは、いずれもリズムの切れやスピード感が素晴らしく、今聴いても全く色褪せ感の無い名盤ばかり!
 
それにしても1960~70年代のアニメとその音楽に関しては、まだまだ語りだすとキリが無い。いっそ「裏・猫丸しりいず」でも立ち上げてみましょうか(笑)。
 
diskunion新宿クラシック 猫少年猫丸
 

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