★猫丸しりいず第138回

●猫丸しりいず第138回

◎ショーソン:交響曲変ロ長調、詩曲

 シャルル・ミュンシュ指揮 ボストン交響楽団 オイストラフ(Vn)
(国内BMG/RCA BVCC7924 廃盤)

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本来「エコ」な乗り物として歓迎される存在であるべき「自転車」。しかし、最近はどうも「厄介者」扱いされているように思う。

事実私も傍若無人な運転の自転車にぶつけられそうになり、危ない思いをした事が二度や三度では無い。昔はそれほど危ない思いをする事は無かったように思うのだが、これだけ急激に社会問題化しているのは、短期間に自転車に乗る人のマナーが急速に劣化した事が要因なのだろう(残念な事だが)。携帯電話を眺めながらの運転なんて、全く論外である。

自転車の事故を侮ってはいけない。命にかかわる事もあるのだ。「自転車」と言えば、どうしても連想してしまう作曲家がエルネスト・ショーソン(1855~1899)。彼は不幸にも自転車事故により、44歳の若さで命を落とした人(不慮の事故という点で、前回のグラナドスと「双璧」である)。クラシック音楽の作曲家と「自転車」という組み合わせ自体が、何だか微妙な「違和感」を感じさせるのだが、実際、自転車は非常に歴史の浅い乗り物で、現在の自転車の原型が生まれたのはようやく19世紀末の事であり、それからまだ100年ちょっとしか経っていないのである。

ショーソンは、はじめは両親の意向で法律家を目指したが、音楽への想いを捨てられず24歳でパリ音楽院に入学したという経歴の持ち主。30歳代半ばから続々と傑作を生み出し、さあこれから円熟期・・・と思われた1899年、彼は別荘のある村で自転車に乗っている時、道の途中の柱に激突して即死、という何とも痛ましい最期を遂げてしまう。ただ、衝突の瞬間を目撃した人が誰もいなかった事から、彼の死に関しては「下り坂で運転を誤った事故」という見方がある一方、「自殺だったのでは」という説もあり、大きなミステリーを残す事となった。当時は前述のように現在の自転車の原型が出来て間もない頃であり、ブレーキ等の「安全装置」がまだ不十分だった事は想像出来る。

唐突な死によって断ち切られてしまった彼のキャリアだが、その短い創作期にまさに「ショーソン的」としか形容しようのない素晴らしい作品を遺してくれた事に、我々後世の聴き手は感謝しなければならないだろう。彼の作品には確かにフランクの影響は感じられるが、ワーグナーに心酔した人だけあって、師匠フランクよりも「浮世離れ度」が低く、良い意味で非常に「生臭い」のである。例えば「交響曲」の終楽章。崇高な感情と現世的な欲望がせめぎ合うようなこういうスゴイ曲を一体他に誰が書けると言うのだろう。「詩曲」とか「愛と海の詩」を聴いても、基調はリリカルでありながら、ところどころに「チョイ悪」的なアブナサが顔を出す・・・という趣き。この人が「老年」になるまで音楽を書き続
ける事が出来たなら、一体どんな作品が生み出されたのだろうか?

彼の「交響曲」の名盤と言えばミュンシュ&ボストン。とにかく豪快でスケールの大きい演奏だが、「豪放すぎる」と感じられる方も当然いらっしゃるかと思う。もっと「フランス的」な名盤をという方にはアンセルメ、ジョルダンの演奏を。この曲の「隠れ名盤」は、名匠マルク・スーストロがロワール・フィルを指揮した盤。マイナーレーベルから出た事もあり、ほとんど知られる事も無く現在も入手困難な音源だが、これがなかなかスバラシイ。何とか復活出来ないものか・・・

 

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