★猫丸しりいず第141回

●猫丸しりいず第141回

◎ヴァレーズ:砂漠、イオニザシオン 他

ケント・ナガノ指揮 フランス国立管弦楽団 他
(海外WARNER APEX 2564620872)

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いわゆる「現代音楽」を語る上で、新ウィーン楽派の3人と共に絶対外せない巨人がフランス生まれのアメリカの作曲家エドガー・ヴァレーズ(1883~1965)。

「十二音技法」とかとは別の切り口の、言わば「ノイジー系」現代音楽の元祖と位置付けられ、後輩の作曲家たちに絶大な影響を与えた(フランク・ザッパも信奉者であったらしい)この人。私は実はヴァレーズという作曲家の存在を、クラシックを聴き始めたばかりの中学生の時には既に知っていた。

それはなぜかと言うと、当時読んだ芥川也寸志氏の本の中にヴァレーズの事が取り上げられていたからである。芥川さんがニューヨークに行った際、リンカーンセンターでバーンスタイン指揮の現代音楽のコンサートを聴く機会があり、その時にヴァレーズの代表作である「砂漠」が演奏されたのだが、過激でノイジーな音響が多くの聴衆の反発を買い、口笛や怒号で場内は騒然となったそうだ。やっとの事で演奏が終わり、バーンスタインが会場の2階の最前列を指してヴァレーズ自身の臨席を聴衆に知らせると、非難の叫びとそれに反発する賛成派の叫びが同時に湧き上がり、場内の混乱は頂点に達した。そして、その時の情景を芥川さんはこう書いている。

『その怒号の中で、にこやかに微笑みながら立ち尽くしていた白髪の老作曲家の姿は、
私には涙の出るほど素晴らしく、誰よりも偉大な人物を目撃しているような感激で身体中が熱くなってきました。』

同時代に生きる作曲家同志としての共感と敬意に満ちたこの名文に、私は大いに感動してしまった。俄然ヴァレーズに興味の湧いた私が入手したのがメータ盤(DECCA)。肝心の「砂漠」が含まれていないのが残念ではあったが、カッコ良いジャケットも気にいって購入。聴いてみると確かに騒々しくはあるのだが、ロックにも通じる痛快さに満ちていて面白い。中でも打楽器アンサンブルによる「イオニザシオン」はインパクト充分で、何回も繰り返し聴いてしまった。1920~30年代に早くもこういうカッ飛んだ作品を生み出していたというのは偉大の一言。尚、この名演名録音のメータ盤が現在入手困難な模様なのは実に残念。

「砂漠」を含むヴァレーズの主要作を網羅し、価格もお手頃のおススメ盤と言えばナガノ盤。この指揮者らしく、いかにも「ゲンダイオンガクやってるぜ!」的な力みかえった感じの無いスマートでクールな演奏。オケの明晰な響きも相まって、「過激」「騒音」といった切り口で捉えらえがちなヴァレーズの作品が実は意外なほどに「洗練」されている事に気付かせてくれる。それにしても「砂漠」は最早60年前、「イオニザシオン」に至っては何と80年も昔の作品である。これらの作品が未だ「ゲンダイオンガク」と呼ばれているのは考えてみれば不思議な話。音楽における「現代」って、一体どういう意味なのだろうか??

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