★猫丸しりいず第143回

●猫丸しりいず第143回

◎ルーセンベリ:街のオルフェウス、交響曲第3番 他

サー・アンドリュー・デイヴィス指揮 ロイヤル・ストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団
(フィンランドFINLANDIA 3984-29719-2)

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知られざる名曲の宝庫、北欧。今回はスウェーデンのヒルディング・ルーセンベリ(1892~1985)が登場。

この人の作品、一言で言って「モダン」である。スッキリと見通しの良い響きで、混沌とした感じや晦渋さが無く、しかも守旧的な古臭さも無く、近現代的なスパイスがピリッと効いている・・という感じ。聴きやすさとモダンさのバランスが中々絶妙で、地元スウェーデン以外での認知度があまりに低いのが惜しまれる作曲家だ。

彼の最高傑作がバレエ曲「街のオルフェウス」(1938)。このデイヴィス盤のライナーの解説によれば、ノーベル賞授与式の会場として知られるストックホルムのコンサートホール前に建つブロンズ像「オルフェウスの泉」からヒントを得て生まれた作品らしい。

ある夜、このオルフェウスの像がいきなり「本人」に変身してストックホルムの街に降りてしまう。早速オルフェウスは夜の街に繰り出して、エウリディーチェを探しに行ってしまい(笑)、何と目出たく彼女と再会(爆笑)。二人でナイトクラブに出かけ、タンゴとかを踊ってしまう。そして最後はオルフェウスは何食わぬ顔で?またもとのブロンズ像に戻りましたとさ、という実に荒唐無稽で笑える筋書き。エウリディーチェさん、アンタこんな北欧の街まで何しに来てたんですか、とインタビューしたくなってしまう。渋谷駅前の「ハチ公像」が「本犬」に変身して夜の渋谷を散歩した挙句、また元の像に戻りました・・なんてバレエをどなたか作ってもらえないだろうか。

この曲、プロコフィエフのバレエ曲を近代フランス風味に味付けした・・・みたいな感じで、
キレの良いリズム、シニカルなのにどこかお洒落な雰囲気等々、この時代に作られたバレエ曲の中でも屈指の傑作と思う。最近スヴェトラーノフのライヴ盤が登場したのには驚き。この隠れ傑作の認知度アップに繋がってほしい。ただ、この盤はメインはサンサーンスの交響曲なので、私としては1枚全てルーセンベリで固めたデイヴィス盤を矢張りおススメしたい。

デイヴィス盤は演奏、録音とも傑出した素晴らしさ。カップリングされた「交響曲第3番」「ルイヴィル協奏曲」もルーセンベリの持ち味が大いに生きた名作で、「オルフェウス」が気に入った方ならきっとこの2曲もお気に召して頂けると思う。ちなみに「ルイヴィル協奏曲」はアメリカ、ケンタッキー州のルイヴィル交響楽団からの委嘱作。このオケ、モノラル録音の時代から様々な国の作曲家たちに新作を依頼し、それを初演、録音して自主制作盤として出してしまう・・という果敢な活動を行なっている団体。近現代の多くの重要な作曲家たちが委嘱を受けているが(黛敏郎の作品もとりあげている)、今でさえ国際的にはメジャーとは言い難いルーセンべリに作品を委嘱したルイヴィルのスタッフの慧眼には
驚くばかりだ。

まさに「多士済々」というコトバがピッタリの北欧の音楽界。「北欧しりいず」は、まだまだ続く・・・・

 

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