猫丸しりいず 第26回

バーバー:弦楽のためのアダージョ、メデアの瞑想と復讐の踊り 他
トマス・シッパーズ指揮 
ニューヨーク・フィルハーモニー交響楽団
(米SONYCLASSICAL MHK62837)
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前回登場のコープランドと並ぶ、
アメリカを代表する作曲家サミュエル・バーバー (1910~1981)。
多くの方にとっては、バーバーイコール「弦楽のためのアダージョ」ではないだろうか。

もともと「弦楽四重奏曲第1番」の第2楽章として書かれたものを、
コントラバスを 含めた弦楽合奏の曲に編曲したのがこの作品。
トスカニーニによって初演された。
 
時にバーバー28歳。
意外に若い時の作品なのである。
バーバーの、というより全てのアメリカ音楽の中でも、
最も有名な作品と言えるこの 名作が広く知られるようになったのは
(これも前回の内容と関連するが)
暗殺された ケネディ大統領の葬儀で使用されてからである。

悲劇的な感情を格調高く歌い上げるこの曲が、
多分あまりにハマッテいたからであろう。
それ以降、この曲は葬送や訃報の際のBGMの定番となってしまった。
もっとも、この事に関して、バーバー自身は

「俺、この曲、葬式用に
書いたんじゃないんだけど」

と、ご機嫌が良ろしくなかったそうだが・・・

確かに、この曲だけが突出して有名になってしまった事は、
バーバーにとって、ある意味不運なのでは・・・と私も思う。

他の魅力的な作品の多くが、
「アメリカ音楽好き」以外の聴き手には、ホトンド無視されているように思えるからだ。
彼の曲は、コープランドやバーンスタインのような、
いかにも「アメリカですよ!」という乾いた感じが薄く、
もっと濃厚でロマンティックな印象だ。

古き良き時代のアメリカの風景を想起させるような
美しい「ヴァイオリン協奏曲」や、
多くのダイナミックな管弦楽曲など、
おススメしたい作品はたくさんあるが、

ここではあえて、

あの「アダージョ」の対極を行く「メデアの瞑想と復讐の踊り」をご紹介したい。
舞踏家マーサ・グラハムのために作曲されたバレエ曲が母体となっているこの曲。
後半の「復讐の踊り」が特に強烈な印象を与える。
猛烈なハイ・テンションを保ちながら、飛び交う変拍子を冷静にさばき、
なお且つ終結に向かって更にテンションを上げていかなければならないこの曲。
指揮者とオーケストラにとって相当な難物である事は間違いない。

実にハードルの高いこの条件を、「完璧!」と叫びたくなる位にクリアしているのが、
このシッパーズ盤だ。シッパーズには、
この連載の「第13回」にもご登場いただいているが、
47歳という若さで癌に斃れた悲劇の天才指揮者である。

バーバーの作品は彼の重要なレパートリーの一つで、
作曲者からも絶大な信頼を得ていたよう だ。
指揮者とオケがモタモタしていると全く手に負えないこの難曲を、
「鮮やか」としか言いようの無い見事さで料理している。

まるでプログレッシヴ・ロックを聴いているような快感を覚える程だ。
ミュンシュ&ボストン響の演奏(RCA)も、
アツイものがあって捨てがたいが、ここ迄の域には達していない。
この指揮者の夭折は 、やはり大変な損失であったと再認識させる名演である。
ただしこの盤はやや選曲に偏りがあるので、
バーバーの全体像を見渡す「入門用」としては、
スラットキン&セントルイス響の2枚組廉価盤(EMI 5865612)がベストかも。
 
「アダージョ」以外の作品にも、そろそろ日が当たってほしいバーバー氏である。

※前回にとりあげた、
ロバート・メリルの「AMERICANA」のCDの入手方法のお問い合わせを頂戴した。
まずは、この連載をお読みいただいているお客様に大感謝を申し上げたい。
この盤、一度だけ国内盤も出たが、それはまさに稀少盤。
本国のアメリカでも、事実上廃盤状態のようだ。
ただ、アメリカの「ARKIVMUSIC」というWEBのCDショップで、
デッカからライセンスを得て、CD-Rの形で出ている商品があり、
それは入手可能である。
ライセンス商品なので、いわゆるコピー盤や海賊盤ではない。
ご興味のあ る方は 「ARKIVMUSIC」で検索すれば容易にアクセス出来る
(ただ、英語のサイトで日本語対応が出来ないのが残念)ので、
一度ご覧になっては如何だろうか。

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