猫丸しりいず第32回

猫丸しりいず第32回  

●呉祖強:琵琶協奏曲「草原の小姉妹」
リスト:ピアノ協奏曲第1番 他  
劉詩昆(Pf) 劉徳海(中国琵琶) 
小澤征爾指揮 ボストン交響楽団
(国内PHILIPS PHCP9234/廃盤) 

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中国の世界遺産が好きで個人的に何度も出かけているのだが、
その度にこの国の人々のいろんな意味で強烈なパワーに圧倒される。 

芸能・芸術の分野でも彼らの潜在力は凄いの一言。
ランラン、ユンディ・リ、サ・チェン等々、
若手ピアニストの分野での中国出身者のハイパワーぶりは
今更言うまでもないだろうし、何しろ人口が多く、
上昇志向や目的意識も強いので、
これからも凄い演奏家がゾロゾロ出てくる可能性を秘めている。

最近も、北京出身のユジャ・ワンという凄腕女性ピアニストが
DGからデビューし話題を呼んでいるようだ。  

英才教育にも熱心で、これ、と見込んだ人材は、
例えば「雑技」のような伝統芸に関しても、
幼い頃から徹底的に仕込むのだそうだ。

そうでなければ、あんな人間離れした超絶的な芸は不可能であろう。

ともあれ、日本もウカウカしては居られない。  

だが、今回ご紹介する録音が30年位前に出たときは、
中国人ピアニストが「若手の有望ピアニスト」の分野を
これだけ席捲する事になるとは、想像も出来なかった。    

そこで、今回は中国人ピアニストのパイオニアというべき人をご紹介したい。
その人の名は劉詩昆。この録音でリストを弾いているピアニストである。  

この盤は、中国・瀋陽生まれの小澤がボストン響を率いて、
中国にツアーを行い、大きな話題となった1979年に録音されたが、
どちらかと言えばメインは「琵琶協奏曲」であって、
リストは何だか「オマケ」という感じであった。

「琵琶協奏曲」も中々の名曲・名演であるのだが、
私は続くリストの意外な名演に驚き、このピアニストに興味を持った。  
劉詩昆は1939年天津生まれ。
1958年のチャイコフスキー・コンクールで2位に輝く
(ちなみに第1位がヴァン・クライバーンだった、あの年である)。

その後、モスクワ音楽院に留学し、1962年に帰国。
中央音楽学院の教授を勤めたが、文化大革命の嵐に巻き込まれ、
約5年間を獄中で過ごす憂き目に会う。  
その後音楽家としての地位を固め、いわば「中国代表選手」として、
この録音を残すのだが、その後も、1982年には北京で
「生活上の乱れ」を理由に警察の取り調べを受け
(な~んか政治的なニオイもする)
その後活動の中心を香港に移し、「ピアノ芸術センター」を開設して成功するも、
今年(2009年)の1月には「妻に暴力」をふるったとかで逮捕され・・・と、
まあ波乱の人生である。  

作曲家としても活躍した劉、このリストを聴くと、
単に達者なだけではなく、上記の経歴はダテではない・・・と思わせるのだが、
何せ入手可能な商業録音がほとんど無く、
判断材料が無さ過ぎる。この演奏からの個人的印象では、
ショパンやドビュッシーなどより、協奏曲で言えば、
チャイコフスキー、グリーグ、バルトーク等々の曲目で
真価を発揮するピアニスト・・・という感じがするのだが。  

ともあれ、社会的、政治的に困難な時代の中、
後輩たちに道を切り開いた功績は大きく、
このまま過去の人になってしまうのは惜しい気がしてならない。
何とか他の録音も聴いてみたいものだが、
ひょっとしたら上海や香港のCDショップには存在するのだろうか?

今度行く機会があったら、「捜索」してみるか・・・  

ではまた次回・・・・  

  

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