猫丸しりいず 第34回

ウェーバー:舞踏への勧誘(ベルリオーズ編曲・管弦楽版)  
アルトゥーロ・トスカニーニ指揮 NBC交響楽団
(国内RCA/BVCC9938)
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ハンス・クナッパーツブッシュ指揮 
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
(国内DECCA UCCD7024)    
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以前この連載で、聴き比べの面白い曲として、
オネゲルの「パシフィック 231」をとり上げた事があったが(第9回)、
この「舞踏への勧誘」も、なかなか面白い。  
この曲、「展覧会の絵」と並んで、
原曲よりも管弦楽編曲の方が圧倒的に知られている例である。

実際、ベルリオーズの手によるこのアレンジ、
最初から管弦楽曲として書かれたのでは、と錯覚させる程に見事な完成度だ。  

舞踏会で、紳士が女性に「一緒に踊りませんか?」と誘いかけ、
二人は踊り、終わるとお礼を言って別れる、という情景を描いたこの曲、
実にシンプルな構造で、一見「怪演・珍演」の生まれる余地は
あまり無いように思えるのだが、油断は禁物である。  

最初にたまげたのはバレンボイム&シカゴ響(DG)。
シカゴ響と言えば、上手い事、パワフルな事にかけては
世界に冠たる存在であるが、それも程度問題。 

「舞踏への勧誘」の登場人物の男女には、なんとなくバレエダンサーのような、
ほっそりした上品でスマートなカップル・・というイメージが伴うのだが、
この演奏はまるで違う。 曲の冒頭の、紳士を表すチェロのソロ、
これが実に上手いのだが、あまりにナマナマしい。

これじゃ「紳士」じゃなく「下心見え見えのオッサン」という感じである。
そして続くワルツの異様な「肉付き」の良さ。
「ドーナツの食べすぎで太っちゃいました」という二人の声が聞こえてきそうである。
ウ~ン・・・ 「過ぎたるは及ばざるが如し」 

  しかし、この程度で驚いていては「激甘」であった。
トスカニーニとクナッパーツブッシュ。
この巨匠ふたりによる演奏が、誠に破壊力抜群である。 
 
まずはトスカニーニ。抱腹絶倒の一言。断言して良いが、
この演奏では絶対踊れない。それにしてもこの優雅な曲で、
ここまで「コメカミに血管浮かんでます」と言わんばかりの激演を成し遂げるとは、
さすがトスカニーニ大先生!尊敬します。

ただし、体調の悪い方はご遠慮下さい。

そして、真打ちクナッパーツブッシュ。この演奏で踊っているのは、
多分「インド象」か「イースター島のモアイ像」みたいな
ひたすら「巨大」で「重たい」物体であろう。
少なくとも「人間」ではない事は間違いない。
全編にわたって「地響き」の鳴りわたるこの演奏。

怪人クナッパーツブッシュにのみ許された芸当である。
良い子は絶対マネをしないように。 

  ちなみに、同じ曲を演奏しながら、
演奏時間はトスカニーニは7分49秒、クナは 11分17秒・・・ 

もはや言うべき言葉なし。  


それにしても、この二人を含む「いにしえの巨匠たち」の凄さは、
本人たちは(多分)いたって普通にやっているつもりなのに、
その演奏家のカラーが演奏に強烈に刻印されてしまう事だろう。

それが彼らが未だに現役の演奏家を凌ぐ人気を維持している理由なのだろうが。 
ちなみに今回ご紹介のトスカニーニの盤には、
他にも血管ブチ切れ寸前の「スケーターズ・ワルツ」や「美しく青きドナウ」

クナ盤には今にも妖怪が出てきそうな「大学祝典序曲」という
悶絶&爆笑必至の怪演が含まれており、
私のような「ヘソ曲がり&お笑い好き」のクラシックファン必携のアルバムとなっている。
「普通の名演」に飽きたあなたに是非おススメしたい。

(ただ、前者には「エグモント序曲」という「普通の意味で最高の名演」
も入っていたりして、始末が悪い?のだけど) 

ことし一年、小生の駄文にお付き合い頂き、ありがとうございました。

来たる2010年も、当「猫丸しりいず」を、
そしてモチロン「新宿クラシック館」をよろしくお願い申し上げます。 

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