猫丸しりいず第36回「ニッポンのメロディー」

●猫丸しりいず 
第36回「ニッポンのメロディー」  

◎ホルスト:日本組曲  
エードリアン・ボールト指揮 
ロンドン交響楽団
(英LYRITA SRCD222)  
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のっけからクラシックじゃないネタで申し訳ないが、
昔、ドイツのへヴィメタルの雄である「スコーピオンズ」のライヴ
(確か会場は中野サンプラザ)盤を聴いていた時の事。  

ヴォーカルのクラウス・マイネが突然
「ハールーコーウーロウノォー♪」
と、何だか聞き覚えのある歌を歌いだし、度肝を抜かれた。  

「これって、まさか滝廉太郎の・・・・」

そう、その曲は、紛れも無い「荒城の月」だったのである。  

『春高楼(こうろう)の花の宴(えん)
巡る盃かげさして
千代(ちよ)の松が枝(え)わけ出(い)でし
昔の光いまいずこ』  

「蠍団」と「荒城の月」という、あまりにミスマッチな組み合わせに、
最初はただ唖然としてしまったのだが、
聴き進むうちに彼らが「日本向けファンサービス」みたいな軽いノリではなく、
実に真摯にこの異国の名曲と対峙している事が伝わってきて、感動してしまった
(実際、外国人がこの曲を原語で歌い切る、
というのはそんなに容易な事では無い筈だ)。

ただ、肝心の日本のファンたちが、
あまりこの曲の事をわかっていないような感じが伝わってくるのは、
ちょっと苦笑モノではあるけれど・・・  

不思議なのは、彼らがどうやってこの曲を知り、
自分達のスタイルで演奏しようとまで思ったのかである。
日本人の、または日本に長期滞在した知人でもいたのであろうか。  

クラシックの世界でも、日本の特定の曲の旋律を
そのまま引用した作品は決して多くない。

「蝶々夫人」や「ミカド」は知られているけれど、
管弦楽作品で、その手の曲はあるのだろうか。  

それがあったのである。それも、あの「惑星」のホルストの作品である。
曲名もズバリ「日本組曲」。6曲から成る10分強の作品で、
「惑星」とほぼ同時期に作曲された。

早速聴いてみると・・・  

これがもう、「日本風」なんてレヴェルではなく、
「日本そのもの」という風情で驚かされる。
ホルストの作品という実態を知った上で聴けば、
オーケストレーションに彼らしさは大いに感じられるものの、
全くその事実を知らずに聴いたら
日本人の作品とカン違いしてしまう人もいるのではないか。

「坊やは良い子だ、寝んねしな」の「江戸子守唄」が
ほぼ「丸のまま」登場する第5曲には思わずジーンとしてしまう程。  

ここで前述の「荒城の月」同様、
「ホルストはどうやってこれらの曲を知ったのか?」
という疑問が生ずるのだが、これはライナーの解説によって氷解する。  

この曲は、作曲当時ロンドンに滞在していた
ミチオ・イトウという日本人の舞踏家からの委嘱によって書かれたもので、
日本の曲など知るはずもないホルストに、
イトウ氏が口笛で吹いて教えた旋律が素材になっているそうなのである。
残念なのは、この曲が(そのあまりにローカルな素材ゆえ?)
「惑星」以外の作品の再評価著しいホルストの作品の中でも
全く無視された存在に甘んじている事。

このボールト盤以降、これと言った録音が出ていない。
是非シャンドスあたりで新しい録音をリリースしてもらい
「日の当たる場所」に出してもらいたい、愛すべき小品である。    

※余談だが、スコーピオンズはベルリン・フィルと共演したアルバムも出している。
その絡みでこのバンドの事をご存知の方もいらっしゃるだろう。  

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