猫丸しりいず第39回

猫丸しりいず第39回

●ラロ:ピアノ協奏曲
ドッス(P) 
クンシュ指揮 シュトゥットガルト・フィルハーモニー管弦楽団
(米VOX CDX5110 2枚組)



●タネーエフ:交響曲第4番 
スヴェトラーノフ指揮 ロシア国立交響楽団
(露VENEZIA CDVE44003 4枚組)



以前この連載で、ナボコフやフォウルズといった、「埋もれた作曲家」の名曲をとり上げた事があった(第3回と第4回なので、随分前になる)。

しかし、更に不可解な事に、有名な作曲家の作品で、しかも名曲であるのに全く知られていない、というケースが少なからず存在する。

その一例は、サンサーンスや、スッペの「レクイエム」。二人とも泣く子も黙る大メジャー作曲家であるにもかかわらず、「レクイエム」を作曲しているという事実すらほとんど知られていない。しかも、それが意外な名曲である。モッタイナイとしか言いようがない。

今回まずご紹介するのは、LP時代から秘曲の発掘に熱心だったVOXレーベルによる、「フランスのピアノ協奏曲」。収録されている曲は、珍曲ばかりである。

が、作曲者を見てみると、マスネ、ピエルネ、ルーセル、フランセ・・。少なくとも「無名」な人は全然いない。しかし、マスネの協奏曲以外は存在すらほとんど知られていないのではないだろうか。

中でも一番印象的だったのが、ラロのピアノ協奏曲だ。

冒頭ピアノで提示される印象的な主題が、全曲(約25分)のあちこちで姿を見せる。
その手法はフランクを想わせ、また曲調はダンディの「フランス山人交響曲」を連想させる。「超絶技巧を駆使した、華やかなコンチェルト」でなかった点が、演奏者側にウケなかったのかも知れないが、これ程の佳曲が完全に埋没している(これ以外にもう1種録音があるようだが、実演された事があるという話は聞いた事がない)のは実に残念。

ラロ程の大作曲家にしてこの状態であるから、「名前は多少は知られている」位の作曲家の場合、事態はもっと悲惨である。まあ、「評価の定まった名曲」だけでもハンパでない数があるワケであるから、マイナー作曲家の作品にまで手が回らない・・・というのは仕方の無い事ではあるだろう。

ただ、そうは言っても「これほどの名曲がなぜ全く知られていないんじゃ!」という例は枚挙に暇が無い。
そんな中から、ロシアの作曲家タネーエフ(1856~1915)の「交響曲第4番」をご紹介。

この人、世代的にはチャイコフスキーやリムスキー・コルサコフのちょっと後輩、という位置付けである。モスクワ音楽院の院長も勤め、弟子にはスクリャービン、グラズノフ、ラフマニノフ、プロコフィエフ等の、錚々たる顔ぶれが並んでいる。「ロシア的」でありながら、構築的なガッチリした曲を書く人だ(対位法の権威であったらしい)。

「交響曲第4番」は、そんなタネーエフの音楽の魅力を凝縮したような名曲。ネーメ・ヤルヴィやロジェストヴェンスキーも録音している。
第1楽章の緊迫感、疾走感に溢れた音楽運び、第2楽章のいかにもロシアの交響曲らしい叙情的な美しさも素晴らしい。

だが、何と言ってもシビれるのは、フィナーレの第4楽章!

ここまでの3つの楽章のメロディーが、行進曲風に展開されていくのだが、最後の最後に第2楽章で現れた甘美な旋律が、金管の壮大なファンファーレとして登場する。ここから終結に向けてのカッコ良さといったら、まさに「あの夕日に向かって走れ!!」という感じ。ここをスヴェトラ先生が、まさに「恥も外聞も無し」級の強烈な盛り上がりでキメテくれる。結びは「これでもか!」と言わんばかりの終始和音の連打と「お約束」の大フェルマータで目出度く終結。ロシア音楽好きの方は「知らなきゃ損」の名曲だ。

ちなみに、この4枚組のスヴェトラ盤、タネーエフの他はアレンスキーの2曲の交響曲や、グラズノフの(5番じゃなく)「6番」、バラキレフの(1番じゃなく)「2番」という、わざわざ有名な曲を(恐らくは)確信犯的に外した、「ロシア交響曲オタク」を狙い撃ちしたようなラインナップになっており、不肖猫丸も、マンマとその戦術にハマッテしまった一人である。

また、前述のヤルヴィもニューヨーク・フィルへの客演で、わざわざこの曲をとりあげる位強い思い入れを持っているようで、フィルハーモニア管との録音(シャンドス)は中々気合の入った力演となっており、こちらもおススメである。

「有名曲」じゃなくとも「隠れ名曲」がゴロゴロのこの世界。
これだから「クラシック」は、やめられません・・・・・・

disukunion 新宿 classic  猫丸

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