★猫丸しりいず第41回

★猫丸しりいず第41回  

◎モーツァルト:交響曲第41番「ジュピター」 
ヨゼフ・クリップス指揮 
アムステルダム・コンセルトへボウ管弦楽団
(国内PHILIPS UCCP7030)    
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この連載も41回目という事で、今回は「41」にちなみ「ジュピター」の盤をとりあげる。
モーツァルトの作品の中で、「たった1曲残すとしたら?」ともし問われたら、
「魔笛序曲」とどちらを残すか、最後まで迷うだろうと思うくらい、この曲は好きである。    

ただ、親愛なる「水瓶座男」アマデウス氏には申し訳ないが、
今回の主役は「曲」ではなく、この盤の指揮者、ヨゼフ・クリップス(1902~1974)である。

オイゲン・ヨッフムと同い年のこの人、
ウィーン生まれのウィーン育ち。その演奏は非常にオーソドックスで、
それゆえ、ともすると「平凡」というレッテルを貼られがちだ。    

しかし、本当にただの「平凡」であるならば、
とっくに忘れ去られてしまっても良い筈なのに、
クリップスの演奏は地味ながらも根強い支持を保ち続けている。
実際、私もこの「ジュピター」と「40番」のCDを含め、様々な録音を愛聴している。

彼の演奏を聴いた後には「個性的で面白かった」という感想は
まるで浮かんでこないのだが、その代わりに「ああ、良い曲を聴いたなあ」という、
実にベーシックな満足感が残るのだ。    

考えてみると、自分の「色」を強く出さずに、
しかも聴き手に満足感を与えるというのは実は一番難しく、
一朝一夕に出来る芸では無い。
名匠クリップスのこの「芸」は、一体どうやって生み出されたモノなのだろうか。

非常に気になった。    

しかしその「謎」を探ろうにも、この指揮者に関する情報は意外に少なかった。
クリップスに関して得られる情報といえば、「履歴書的」な経歴か、
意地悪な楽団員たちにからかわれたり、悪戯されたり・・・
というエピソードばかり(この名匠は、今で言えば相当な「いじられキャラ」だったようだ)。

手がかりが無く、何かモヤモヤした状態が続いた。  

そんなある日。    
某音楽雑誌に、ロンドン響のヴァイオリン奏者出身の名指揮者、
ネヴィル・マリナーのインタヴュー記事が載っていた。
その中で、彼は尊敬する指揮者として、モントゥーと、
そしてクリップスの名を出したのだ。私は思わず「おおッ」と声を出しそうになった。  

マリナーによれば、彼がロンドン響に入団した頃、
このオーケストラは「1回練習して本番2回」なんてスケジュールを平気でこなしていて、
非常に荒れた状態だったとの事。  

マリナーの言葉を借りると、そこへやって来たクリップスは、
「まずオーケストラに古典が演奏出来るスタイルを植え付けた。
その指導と鍛錬法は実に素晴らしいもので、私(マリナー)は魅了されてしまった。

だから、ジョーはモントゥーの次に重要な指揮者」なのだそうだ。
(ちなみに、ロンドン響の楽員達はクリップスを「ジョー」と呼んでいたそうだ。
「ヨゼフ」だから英語だと「ジョー」になるんだろうが、
クリップスの雰囲気とは妙に合ってなくて何か可笑しい)  

私はこれを読んで、「そうだったのか!」と腑に落ちた。
「曲そのもの」の良さを純粋に楽しませるようなクリップスの名演は、
「基本的な事をキッチリやらせる」地道な指導から生み出されたものに違いない。

「基本をしっかり」という、華やかさが無く、実は非常に難しい事柄を実践し、
その堅実な仕事を後世までキチンと遺せているクリップス。
これこそ「真のプロ」である。  

こういう人に私もなりたい。
言うは易く、行うは難し。  

さあ、今日から修行だ!!    

※この「ジュピター&40番」の他、ウィーン・フィルとの
「ハイドン/交響曲第99番」や「後宮からの逃走」、ロンドン響との
「ベートーヴェン交響曲全集」などが、この名匠を偲ぶのに最適なアイテムと思う。   

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