★猫丸しりいず第44回「未完成って一体」

★猫丸しりいず第44回
「未完成って一体」  

◎シューベルト:交響曲第8番「未完成」 
ユージン・オーマンディ指揮 
アムステルダム・コンセルトへボウ管弦楽団 
 (蘭RCOLIVE RCO05001 14枚組)  
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 ◎メンデルスゾーン:交響曲第4番「イタリア」 
ジョン・エリオット・ガーディナー指揮 
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 (国内DG UCCG4123) 
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シューベルトの不滅の名作「未完成交響曲」。  
この曲は何故「未完成」に終わったのか。  

「完成を目指して作曲を続けていたが、作曲者の死によってそれが果たせなかった」

というのが、
最も「わかりやすい」未完成のパターンであり、
これにはモーツァルトの「レクイエム」やブルックナーの
「交響曲第9番」をはじめ、プッチーニの「トゥーランドット」、
ベルクの「ルル」等々、多くの実例が存在する。 

  しかし、この「未完成交響曲」に関しては、どうもそうでは無い様だ。
全く身もフタも無い話ではあるが、
「途中で作曲に行き詰まり、そのまま放置されてしまった結果」
というのが有力らしい。  

シューベルトは「第6番」までの交響曲を、
仲間内の演奏会(と言うか「発表会」か?)のために作曲したが、
作曲家として名前が売れてくると、
公開演奏会のための本格的な交響曲を書きたいという意欲が湧いてきた。  

そこに立ちはだかったのが、ベートーヴェンの巨大な壁。
ブラームスの「交響曲第1番」にまつわるエピソードが有名だが、
この時代のドイツ圏の作曲家たちにとって「ベートーヴェンに続く交響曲を書く」という事は、
大変なプレッシャーだったようで、
シューベルトも何度も交響曲の作曲にチャレンジするも、
途中で挫折・・・というパターンの繰り返しとなる。

実はシューベルトの「未完成交響曲」は、この有名な1曲だけでは無く、
なんと少なくとも4曲にものぼるとの事。

全くベートーヴェン、罪な男である。  

第3楽章にとりかかったところで、
放置されてしまったこの「書きかけ」の名曲。
もちろん作曲家の生前には演奏される筈も無く、シューベルトが
この曲を本気で完成させるつもりがあったのかも正直疑わしい。

そんな曲が、今や「クラシックを代表する名曲」として絶賛されている事を、
シューベルト本人は「ラッキー!」と思っているのか「こっ恥ずかしい・・」と思っているのか、
大いに興味のあるところ。  

しかし「未完成」と簡単に言うけれども、
それではどういう状態になれば「完成」と呼んで良いのか。
これまた一筋縄ではいかない問題である。  
と言うのも、一旦作り上げて発表した曲を、後から作曲家が大きく改訂してしまう・・
という例は、決して少なくないからだ。

中にはプロコフィエフの「交響曲第4番」のように、
作品番号の異なる2つのヴァージョンが併存するという奇ッ怪な例まで出てくる始末。  

小規模な手直しは別として、
「この曲はカンペキだ。俺ァもう満足だ」
と思った曲に対して作曲者が大きく手を加えるとは考えにくい。
「手直ししなくちゃ」と思われているうちは、
その曲は少なくとも作曲者にとっては「未完成」状態と言えるのではないか。  

そう考えると、「実は未完成」と言える作品は他にもある。
代表例が、メンデルスゾーンを代表する名曲として君臨している「イタリア交響曲」。  
彼は、この曲を1833年に一応「完成」し、初演もするのであるが、
どうしても気に入らずに何度も改訂を試みるが結局満足せず、
とうとう生前にはこの曲の出版を許さなかった。

「そうか、じゃあ今日聴かれているのはメンデルスゾーンが手直しした版なんだな」
と思えばサニアラズ。
現在親しまれているのは、彼が「だめだコリャ」と思った初演の版を
基本としたもののようなのである
(いろんな説があるが、初稿=初演=出版譜という結論に落ち着きつつあるようだ)。  

ご紹介のガーディナー盤は、この曲の一般的な版と、
初演の翌年1834年に改訂した版(第2~4楽章)の双方を収めた貴重なもの。
正直言うと、凡人の私には、メンデルスゾーンが初演版の
どこを気に入らなかったのかが全く理解できない。

改訂版は、「全然別の曲」になっている訳ではなく、
曲の基本的な流れは同じなのだが、この曲を熟知した方なら、
一般的な版との相違点がかなりある事にすぐ気付かれるだろう。  
何度も聴いてみたのだが、私にはどうしても一般的な版の方が優れているように思えてならない。

メンデルスゾーンの音楽の最大の魅力は、この盤に併録されている「交響曲第5番」
(私は彼の交響曲の中で、この「宗教改革」がダントツに好きである)にも顕著な、
音楽運びの「淀みの無さ」にあると私は感じているのだが、
この「改訂版」は何だか若干「淀んでいる」のだ。

「フェリックス兄、アンタちょっと考えすぎだよ」と思わず声をかけてしまいたくなる。
一度出来上がったものを後からあまりいじくり倒す事は、
必ずしもプラスの結果をもたらすとは限らないようだ。  
入手容易な盤なので、興味のある方は是非聴き比べされる事をおススメする。
果たして貴方の判定は??  

※尚、ご紹介の「未完成」の盤は、
コンセルトへボウ管のヒストリカル録音を集めたBOXの中の1枚で、
オーマンディが1967年に客演した際のライヴ。
これが、指揮者、オケ双方の持ち味が見事にマッチした大変な名演。
単独入手出来ないのがナンとも残念である。
ジャケ写には1961年に、このオケがヨッフム、ハイティンクと共に
アメリカ演奏旅行に出発する際の記念撮影?が用いられており、
KLMオランダ航空のジェット機(ひょっとしたらコンベア880かな?)が写っているのが
乗り物マニアとしては嬉しい(笑

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