猫丸しりいず第56回

★猫丸しりいず第56回

◎リーバーマン:ジャズバンドと管弦楽のための協奏曲 
ギュンター・ノイホルト指揮 
ブレーメン・フィルハーモニー管弦楽団 北ドイツ放送ビッグ・バンド 
(NAXOS 8555884)
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「協奏曲」というジャンルの楽曲のほぼ9割以上は、
ピアノやヴァイオリンをはじめとする、
通常考えられる楽器との組み合わせによる作品・・と考えられるのだが、
残りの少数の「それ以外の作品」には、「珍曲好き」の血が騒ぐユニークな代物が多い。

「珍協奏曲」には幾つかのパターンが存在するが、
一つは通常のクラシック音楽では用いられない楽器との共演。
トゥビンの「バラライカ協奏曲」、ラヴィ・シャンカールの「シタール協奏曲」、
果てはスウェーデン出身の天才ロックギタリスト、
イングヴェイ・マルムスティーン自作の「エレキギターと管弦楽のための協奏組曲」まで・・・

最後の「エレキギター」は、わざわざ「変ホ短調」というレアな調性で書かれ、
ヨエル・レヴィ指揮のチェコ・フィルと録れたCDもあったのだが、
長期廃盤で入手困難なのが実に惜しい。

もう一つのパターンは、クラシック音楽以外のジャンルとの
「異種格闘技」的な協奏曲。この手の曲で古くから知られるのが、
小澤征爾指揮のDG盤で知られる
ウィリアム・ルッソの「ブルース・バンドと管弦楽のための協奏曲」。

しかし、この曲以上に鮮烈なインパクトを与える傑作で、
初演当時は盛んに演奏されながら、
今日ほとんど忘却されてしまった作品がある。

その曲が、今回のテーマ「ジャズ・バンドと管弦楽のための協奏曲」。
作曲者のロルフ・リーバーマン(1910~1999)はスイス出身の作曲家だが、
むしろ1960年代にハンブルク・オペラの総監督として辣腕をふるった人、
とご紹介した方がピンとくる方が多いかもしれない。

それにしても「オーケストラ」と「ジャズのビッグバンド」という、
それぞれ単独でも演奏が出来てしまい、しかも構成する楽器が共通という
2つの集団を一体どのように「協奏」させるのか?

オーケストラのモヤモヤした響きに開始される「序奏」には、
一瞬アレ?と意表を突かれるのだが、続く「ジャンプ」に移るといきなり
ビッグバンドのダイナミックな響きが炸裂!そこにオケが加わり・・・ 

オオッ!

キチンと「協奏」しているではないか!
曲の最後は「マンボ」で閉じられるのだが、この部分のノリの良さも最高の一言。
しかもリーバーマンはこの曲で、「オケとビッグバンド」のみならず「12音技法とジャズ」
のドッキングにも成功してしまっている。いや、恐るべし!!

1954年に西ドイツ(当時)の南西ドイツ放送響により「ドナウエッシンゲン音楽祭」
で初演されたこの大傑作、発表当時は大変な話題になったと見えて、世界各地で演奏された。

アメリカではライナーとシカゴ響がとりあげた他、
何と1959年には日本でも演奏されている。
その時のメンバーは、ウィルヘルム・シュヒター指揮のNHK交響楽団と、
原信夫とシャープス&フラッツという、まさに当時の両ジャンルの横綱対決であった。

確かシュヒターが「シャープス&フラッツという素晴らしいバンドが日本にあるのに、
なぜ共演しないんだ?」と言って、原信夫に声をかけ、実現した顔合わせという話を聞いた事がある。

このバンドは「当時」のみならず、結成から60年近く日本を代表する
ビッグバンドとして君臨し続けたが、原の引退に伴い惜しくも先日解散してしまったらしい。
 
この曲が演奏されない大きな理由は、一流のビッグバンドが共演相手に
必要というハードルの高さ、それに伴い上演コストもかかる割には
演奏時間が短い(約15分)、等々いろんな理由があるだろう。

実際このノイホルト盤が出るまでは、音源入手自体が困難であった。
完全に埋もれていたこの傑作をキチンと聴ける状態にした点で、
この盤の功績は非常に大きい。他の収録曲も中々面白く、
作曲家リーバーマン再評価に繋がる一枚である。

「珍協奏曲」の世界はまだまだ奥深い。
可能であれば、別の機会にまた取り上げてみたいと思う。 今回はここまで・・・・

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