猫丸しりいず第60回

モートン・グールド:タップダンサーとオーケストラのための協奏曲
ロレンス:マラカス協奏曲   ポール・フリーマン指揮 
チェコ・ナショナル交響楽団 アレクサンダー(タップダンス) 
ハリソン(マラカス)(米ALBANY TROY521) 
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 第56回に引き続き、
今回は「珍協奏曲」をテーマとしたい。
「協奏曲」という楽曲を、「旋律を奏でる独奏楽器と、
バックのオーケストラが拮抗しながら演奏される楽曲」と乱暴に定義してしまうと、
今回ご紹介の2曲は、まさに「反則&退場」級の笑撃作である。

しかもこの怪作2曲をナント1枚のCDで聴けてしまうとは・・・  
1曲目のグールドの「タップダンス協奏曲」。
大体、タップダンスって楽器ぢゃないぞ!
この時点で既に充分レッドカード級の反則技である。
作曲者のモートン・グールド(1913~1996)は、アメリカを代表する作曲家の一人であるから
今更紹介不要であろうが、とにかく器用な人で、その作品は誠に楽しく、サービス精神旺盛。この曲も始まった途端に「ああグールドだな」と納得させられる楽しい作品である。  

ただ、肝心のタップダンスがリズム・セクションの一つとして曲に溶け込みすぎていて、
「協奏曲のソリスト」としての「独立性」がやや薄い・・・と感じられるのが、あえて言えばこの曲の弱点。そもそもタップダンスは視覚的要素が非常に大きいので、CDで音だけ聴くのではなく、
やはり実演に接しなければいけない作品なのだろう。
 
実演だったら客席大盛り上がり間違いなしと思われる。  
それにしても、この曲、リハーサルは結構大変そうだ。
完璧主義者で、何度も同じ箇所を繰り返し練習させる指揮者なんぞにぶつかったら、
タップダンサーが本番前にダウンしてしまいそうである。
本番中にヒートアップして、急激にテンポが変わったりしたら・・・ これもコワイ。
ウ~ン、やっぱりこの曲の実演聴いて(見て?)みたい。
指揮者は是非ミュンシュやシェルヘン辺りで・・・・  


お次はベネズエラ出身の作曲家、リカルド・ロレンス(1961~)の「マラカス協奏曲」。  
マラカスの協奏曲って一体・・・ この曲も、聴く前にはどのような展開になるのか予測が困難であった。
ひょっとしたら、ペレス・プラードの「マンボナンバー5」みたいな曲が延々と続くのか?
と不安(期待?)に胸が高鳴ってしまったのだが、
フタを開けてみればこちらの方が「タップダンス」よりも余程「協奏曲」している楽曲であった。  

何しろ、グールドの作品のような「こんな曲作っちゃいました」みたいな、
良い意味での「お手軽感」みたいなものが希薄で、かなり「マジ」な風情で書かれた、
ハードボイルドな響きを発する作品である。  

でも、ソロ楽器はマラカス・・・・ ここのギャップが凄い。  
約15分と、それほど長い楽曲ではないが、マラカス奏者にはかなりの技量が要求される。
曲の後半には結構長いカデンツァ(笑)まで存在するし、

リズム感の良い優秀な奏者でないと持ちこたえられないと思われる難曲である。
この盤のソリストのハリソン氏、敢闘賞モノの熱演だ。  
私はラテン方面にはそれ程詳しくないのだが、「マラカス界の巨匠」みたいな人っているのだろうか。
いや、「カスタネットの女王」ルセロ・テナのマラカス版みたいな人が、
きっと居るに違いない。そういう名人に是非チャレンジをお願いしたい逸品である。  

この珍作2曲を1枚に収めるという、
マニア感涙のCDを出しているのはアメリカの珍曲好きなら必ずお世話に
なっていると思われるALBANYレーベル。この盤の他、
思わず腰砕けのお気楽系名作「交響曲5 1/2(5と二分の一)」を含むドン・ギリスの交響曲や、
ロイ・ハリス、ロイド・ジョージ(この人は英国人だが)の作品集など、
独自のこだわりをもった録音を出し続けている。

これからも珍曲好きの渇きを癒すべく、健気に頑張ってもらいたいレーベルである。


diskunion 新宿 classic   哀・猫丸

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