猫丸しりいず第62回

猫丸しりいず第62回  

☆ドヴォルザーク:交響曲第5番、序曲「わが家」    
オトマール・スウィトナー指揮 
ベルリン国立歌劇場管弦楽団
(国内ドイツシャルプラッテン TKCC70284/旧規格) 
   

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59回の「ザ・グレイト」に引き続き、楽曲のナンバリングに関するオハナシ。
 
「ドヴォルザークの交響曲第5番は2種類ある」と言ったら、どういう反応が返ってくるだろうか。
「そんな馬鹿な」という大多数の声の中で、「ああ、あの話だろ」と
ニヤッとする方もいらっしゃる事だろう。ただ、その方はレコード時代から
クラシックを聴き込んでいるベテランの愛好家がほとんどであろうが・・・・
 
昔、中学生の頃、よくレコードを聴かせてもらっていた友人宅のLPの中に
「交響曲第5番・新世界より」という表記のものを発見した。
「エ?新世界って9番では?」と思い、「これは誤植だな」とライナーを読み進んでいったのだが、
そこでも「第5番」という表記に変わりはなく、
これはどうもマチガイでは無いらしい・・という判断に至った。
 
一体これはどういう事なのか気になって仕方がなく、自分で調査する事にしたのだが、
今のようにインターネットでお手軽に調べ物が出来る時代では無い。
図書館の本をいろいろ調べたり、なかなか手間がかかった。
勿論それはそれで楽しかったのではあるが・・・
 
結果、わかった事。
 
ドヴォルザークの9つの交響曲のうち、
作曲者の生前に出版されなかった初期の4曲(現在1番~4番として知られている曲)には、
かつて番号が振られておらず、「ドヴォルザークの交響曲は5番まで」と
されていた時代があったのである。
 
 

つまり、出版順に番号が付与されていた訳で、
「新世界」が「5番」になっていたのもこれで納得である。  

それがいつから今日のような「9番まで」のナンバリングに変わったのかは、
定かではない。ただ、友人宅にあったLPは(演奏者は忘れてしまったが)
確か1950年代初頭の品物であったので、少なくともその当たりまでは
「旧ナンバー」は残っていたようだ。幸いだったのは、このナンバリングの変更の時期が、
ステレオ録音が一般化し、レコードが急速に一般家庭にも普及した
1960年代以降にならなかった事。

もし「旧ナンバー」による商品が大量に出回っている中で、
急にナンバリングの変更が行われたとしたら、
シューベルトを遥かに上回る大混乱が生じた事であろう。  
「楽曲の番号」は、作曲者自身がつけた「必然的」なもの、と我々
後世の聴き手はつい思いがちだが、
実際は作曲者が「この曲は第何番」と自ら意識的にナンバリングをするようになったのは、
恐らくかなり近代になってからであろう。

特に、ベートーヴェンより前の、
「交響曲」「協奏曲」というジャンルの曲がまだ大量生産されていた時代の作曲家たちは
「ナンバリング」どころか、自分が何曲そのジャンルの曲を作っているか・・・
なんて事にも無頓着だったんではないか。
実際ハイドンが「軍隊」を初演した際に「やったぜ100曲目!」とか言って、
くす玉を割った・・なんて話も聞いた事が無い。  

結局は、後世の人たちが「分類番号」みたいな形で付番したようなケースも多々あるわけで、
そんなケースであまりその「番号」とか「順番」にこだわりすぎる事もないのではないか。
私がシューベルトのケースで、「未完成」は8番、
「グレイト」は9番のままで別に良いんじゃないか、と思う理由もその辺にある。
ともあれ、「ナンバリング」は一筋縄では行かない問題を孕んでいる。  
さて、今回ご紹介の盤の指揮者スウィトナーについても、
一言触れない訳にはいかない。

今年惜しくも他界したこの名指揮者の実演を、私はN響で何度となく聴いた。  
ムラッ気のある人で、すべてが名演という訳にはいかなかったが、
ノッてる時はとてつもない名演奏を聴かせる愛すべきマエストロであった。

また、この人はイタリアの血も流れている(母親がイタリア系)事もあってか、
時に異様にホットな演奏を聴かせる「隠れ爆演系」でもあった。
ドレスデンと録音したスッペの序曲集(「スペードの女王」や「詩人と農夫」の
猛突進ぶりには仰天&唖然)や、意外な名盤「春の祭典」などは必聴アイテムである。
このドヴォルザークも、終楽章でトロンボーンを思い切りブカブカならしてみたり、
随所で「ああ、この人らしい」とニンマリさせる箇所が続出。  

亡くなる随分前に健康問題で引退してしまったため、
永らく忘却されていた感じなのが残念。決してスタイリッシュではないが、
心温まる佳演の多いこの名匠。これからも忘れる事なく聴き続けていきたい 


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