猫丸しりいず第71回

モーツァルト:歌劇「フィガロの結婚」
 
 カール・ベーム指揮 ベルリン・ドイツ・オペラ管弦楽団 他
(独DG 439449-2 抜粋盤)
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くどいようだが、私、乗り物好きである。
鉄道や飛行機が特に好きだけど、基本的にはバスでも船舶でも「乗り物」は何でもOKだ。
 
しかし、子供の頃は好きだったのに、最近全く興味の持てなくなってしまった「乗り物」もある。それは「乗用車」。
 
私の幼かった1960~70年代の日本の乗用車は、まだメーカーごとの個性が鮮明で実に面白かった。
しかし、今の乗用車は「売れ筋に収斂された結果」なのだろうが、皆同じようなデザインとなってしまい、全く興味をそそらなくなってしまった。
それは、クルマが「憧れの贅沢品」から、「誰でも買える道具」になってしまった事の結果でもあるのだろうが・・
 
1960年代までは、まだ日本国内のデザイン技術が発展途上だった事もあったからか、日本のメーカーはピニンファリーナ、ベルトーネ等の
ヨーロッパの有名デザイナーに積極的にクルマのデザインを委託した。
結果、当時の乗用車には、ヨーロッパ調の洗練されたデザインの、魅力ある車種が多い。
 
私が特にお気に入りだったのが、今はトラック、バスの専業メーカーとなった日野自動車の傑作「コンテッサ1300クーペ」である。
イタリアのデザイナー、ジョヴァンニ・ミケロッティのデザイン、フランス・ルノーとの技術提携によって生まれたこの名車は、
まだゴツイ印象の濃かった日本車の中で際立って洗練されたデザインで、そのままパリやローマの石畳の道を走らせても
全く違和感が無いのではないかと思われる洒落た存在であり、当時プジョー、シトロエン、ルノーといったフランス製のクルマが好きだった幼い私を
強く惹きつけたのだった。
 
商業的にはこの「コンテッサ」はお世辞にも「成功」とは言えなかったようで、それ程多くの台数が世の中に出た訳では無い。
しかし、このクルマには根強い愛好者が少なくないようで、車齢40年以上のコンテッサを今でも大事に整備して乗り続けている方が何人もおられるとの事。
私がこのクルマに魅かれたのは、そのデザインもさる事ながら、「コンテッサ」という魅力的な響きのネーミングのせいでもある。
ただ当時は、その素敵なネーミングの「意味」までは関心が及ばなかった。「どうも英語じゃないみたいだ」と感じた程度である。
 
ところがその後クラシック音楽を聴き始めた事により、思いがけず「コンテッサ」の意味を知るところとなったのだから、世の中わからない。
あるオペラを聴いていたら、何と登場人物の中に「コンテッサ」がいるではないか。
 
「ラ・コンテッサ・ディ・アルマヴィーヴァ」
 
そう、そのオペラはご存じ「フィガロの結婚」。
「コンテッサ」が「伯爵夫人」という意味である事を知った時、私は思わず「ウンウン」と頷いてしまった。
決して「ケバケバしい派手さ」は無いのに何故か人を魅きつける上品なデザイン。
それはまさに「伯爵夫人」というイメージにピッタリで、私は心の底からそのネーミングセンスに感心してしまった。
 
それにしても50年近い前に、この素敵なネーミングを思いついたのは、一体誰なのだろうか。メーカーの日野自動車の人? 今でも謎のままである。
でもひょっとしたら、その「名付け親」の方は「フィガロの結婚」が好きだったのかも知れないな・・・と一人想像している。
 
私はモーツァルトの歌劇では「魔笛」が断然好きなので、正直言うと「フィガロ」に関してはそれ程熱心に多くの録音を聴いたわけではない。
そんな私にとっては、最初に聴いたベーム盤に今でも強い愛着がある。
この盤で「コンテッサ」を歌っているのは、名歌手グンドゥラ・ヤノヴィッツ。
そのオットリした上品な歌唱はまさに「伯爵夫人」にピッタリで、初めて聴いた高校生の時から私にとっては「伯爵夫人=ヤノヴィッツ」である。
今や影の薄くなった感もある録音だけど、まだまだ捨て置けない魅力に満ちた1組だ。
 
本年2011年が皆様にとって素晴らしい、そして新たな名曲、名演奏にめぐり会える1年になりますように。
そして今年も懲りずに続く当「猫丸しりいず」を、引き続きよろしくお願い申し上げます!


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