猫丸しりいず第80回

猫丸しりいず第80回
 
◎ドアティ:メトロポリス・シンフォニー
 ジャンカルロ・ゲレーロ指揮 ナッシュヴィル交響楽団
(NAXOS 8559635)
 
◎ドアティ:歌劇「ジャッキー・O」
 クリストファー・ラーキン指揮 ヒューストン・グランドオペラ管弦楽団 他
(独ARGO 455591-2 廃盤)
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私がもし「現役の作曲家の中で、一番好きな人は誰?」と訊かれたら、「この人!」と即答出来るのが、
アメリカの作曲家マイケル・ドアティ(1954~)。
 
ドアティは地元アメリカでは、多くの有名楽団から作品を委嘱され、そのほとんどがレコーディングされるという超売れっ子なのだが、
日本を含むその他の国では全くと言って良い程知られていない。
 
その訳は容易に想像出来る。まず、作品の素材が「純アメリカ的」すぎる事。
例えば今回ご紹介の「メトロポリス・シンフォニー」は「スーパーマン」が、「ジャッキー・O」はJFK未亡人のジャクリーン・オナシスが素材となっている。
この姿勢が実に徹底している事が、アメリカ以外の国の聴き手には馴染みにくいという結果に繋がっているように思われる。
 
そしてそのあまりに個性的な作風。CDのジャケット・デザインがおよそ「クラシック」らしくないとお感じの方も多いだろうが、作品自体もまさにこんな感じ。
最早「ユニーク」を通り越して「キッチュ」と呼んでいいほどの怪作が多い。
よって、好き嫌いは多分極端に分かれるだろうし、保守的なクラシック愛好家の方には「何だよこれ」と一蹴されてしまうに違いない。
逆に、私のように幼少の頃から「スーパーマン」「バットマン」などのアメリカンヒーローものの音楽に親しみ、
「トムとジェリー」「フリントストーン」「ドラ猫大将」「スーパースリー」「チキチキマシン」等々のハンナ・バーべラ系アニメで育った人間には、
ある種の懐かしさと共に直感的に「こりゃ面白い!」と飛び付いてしまう魅力がある。
 
しかも一見奇抜な装いでありながら、実はオーケストラ曲としては非常にしっかりと書かれているところに、ドアティのしたたかさがある。
そうでなければ聴き手のみならず、これ程に演奏家側からも支持され、作品の委嘱が相次ぐという事にはならないだろう。
例えば「メトロポリス」の終曲の「怒りの日」の旋律を用いたタンゴなんぞ「お見事!」の一言。
今回ご紹介のゲレーロ盤、入手容易で演奏も実に良いのだが、この曲を1994年に初演したジンマン&ボルティモア響の盤(ARGO)が
今や入手困難なのが本当に残念だ。
 
もう1曲の「ジャッキー・O(オー)」は、前述の通りジャクリーン・オナシスが主人公のオペラ。
「海運王」オナシス、マリア・カラス、エリザベス・テイラー、グレイス・ケリー等々彼女をめぐる実在の人物が登場。
この曲も冒頭から、既成の「オペラ」のイメージをぶっ壊すキテレツな音楽が炸裂する大怪作。
これまた残念ながら、ご紹介のラーキン盤は入手困難(と言うか、この盤日本国内で一体何枚流通したのだろうか?)。
ところが最近何とこの作品がボローニャ歌劇場で上演され、それを収めたDVDが出たのには度肝を抜かれた(伊Dynamic DYNDVD33605)。
日本語字幕は無いが、この作品が映像として商品化されたのは誠に画期的。これを機に、唯一のCDラーキン盤も復活しないだろうか・・
 アンドルー・コーナル、ジョナサン・ストークスというDECCAの一流スタッフが携わった名盤なのだが・・・ 無理かな?
 
「ドアティ、気に入っただよ」という貴殿には、思わず腰砕け&抱腹絶倒の打楽器協奏曲「UFO」や最新盤の「ルート66」など、
NAXOSから何点か出ているこの人のCDを是非お聴き頂きたい。ネタ切れしないようガンバッテね、ドアティさん!

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