猫丸しりいず第82回

リムスキー=コルサコフ:序曲「ロシアの復活祭」
ファリャ:「三角帽子」第1&第2組曲 他
R・シュトラウス:交響詩「死と変容」・クープランのクラヴサン曲による舞踏組曲 他
 
アルトゥール・ロジンスキー指揮 
ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団&フィルハーモニア管弦楽団

(蘭EMI 5687422 2枚組/廃盤)
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 以前この「猫丸」で名チェリストのザラ・ネルソヴァをとりあげた時「主要な録音がステレオ本格化前の1950年代前半までに集中した結果、
今日損をしている演奏家は他にも多い」と述べたが、指揮者でそういう存在の代表は、ロジンスキー(1892~1958)ではないだろうか。
 
 ポーランド出身のこの巨匠の名前を、実は私はクラシックを本格的に聴き始める前の小学生の頃から知っていた。その訳は・・・
 
私が小学生だった1970年代には、日本の高度経済成長も落ち着いて庶民の間にも「余裕」が出来たのか、一種の「教養ブーム」みたいなものがあったようで、
「百科事典」とか「ナントカ全集」の類を購入する事が流行した。実際、当時は友達の家に行くと、どこでもやたら「百科事典」と『「浪花屋の柿の種」の缶』を
見かけた記憶が私にもある。ジャンルに関係なく様々な項目が五十音順にメチャクチャに並ぶ百科事典はヒマ潰しには絶好のアイテムだったが、
私の家にあった事典に何故か「ポーランド人の指揮者」として、ロジンスキーが載っていたのだ。
 
その後クラシックを聴き始めた時、「音楽事典じゃない普通の百科事典に載ってる位だから、よっぽど有名な人なんだろう」と思って、
私はロジンスキーのレコードを探してみたのだが、当時入手出来る彼のレコードはほぼ皆無と言って良い状態。これには私も首をかしげるばかりだった。
 
結局、ロジンスキーの演奏を初めて聴いたのは、それから更に20年近く経ってから。それが今回ご紹介のEMI盤。
この盤をCDショップで見つけた時は、本当に驚いた。この指揮者がEMIに、しかもステレオ録音を遺していたとは全く知らなかったからだ。
その名を知ってから苦節(笑)30年、初めて聴くロジンスキーの演奏・・・
 
聴いてもう一度驚いた。「スバラシイ!」と叫びたくなるような名演ばかりだったからである。
ファリャ、グラナドス、アルベニスといった「スペインモノ」がアルバムの最初を飾っているが、日頃良くも悪くもユルイ演奏を聴かせる事の多いロイヤル・フィルが、
見違えるような締まった演奏を繰り広げるのにビックリ。そして「ロシアの復活祭」。この曲のベスト1と言える超名演!切れ味鋭い「ロメオとジュリエット」
(チャイコフスキー)も絶品。
聴き終わって感激した私は「そう言えば、名前は知っていても、この指揮者がどういう人だか俺全然知らないじゃないか」という事に気付いた。
 
彼は1920~40年代にかけて、フィラデルフィア、クリーヴランド、ニューヨークといったアメリカの有名オケを相手に、オーケストラ・ビルダーとして剛腕を発揮した人。
オケのレヴェルアップには大きく貢献したものの、芸術に対して「妥協」の無さすぎる辣腕ぶりが行く先々で騒動を巻き起こした、典型的な「独裁型」の指揮者だったようだ。
1947年にはシカゴ響の音楽監督に就任するが、ここでも衝突を起こしてわずか1年で解任され、この後はヨーロッパに戻って活動する事となる。
 
有名なウラッハとのモーツァルトのクラリネット協奏曲や、ショスタコーヴィッチの「5番」をはじめとする、一連のウェストミンスター・レーベルへの録音は
ヨーロッパへ戻った後のもの。そして、このEMIへの録音を行なった1958年にボストンで死去。享年66。
ベームと同世代の人だけに、せめてあと10年、いや5年でも生きて多くのステレオ録音を遺せていたら、今日の評価はもう少し違っていたのではないか。
フィルハーモニア管を振った「死と変容」の充実した演奏を聴くと、「こういう一流オケとこの後更に録音が出来ていたら、多くの名盤が生まれていたに違いない。残念・・」
とつい思ってしまう(この「死と変容」がアルバムの最後に置かれているのが誠にニクイ)。
 
このEMI盤も既に廃盤になって久しい。一部マニアのものにするには惜しい名盤だけに、復活を熱望したい。
それにしても、あの百科事典になぜロジンスキーが載っていたのか・・ こればかりは「謎」のまま終わりそうだ。

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