猫丸しりいず 第87回

◎アルブレヒツベルガー:口琴とマンドーラのための協奏曲 
 
マイア(口琴) キルシュ(マンドーラ)
ハンス・シュタッドルマイアー指揮 ミュンヘン室内管弦楽団
(独ORFEO C035821A) 
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今回は久しぶりの「珍協奏曲シリーズ」。 
 
作曲者のヨハン・ゲオルク・アルブレヒツベルガー(1736~1809)は、ウィーン古典派の作曲家で、ベートーヴェンの作曲の師であり、ベートーヴェンの他ハイドンやモーツァルト等々の関連文献にも登場する人だが、その作品は今日ほとんど知られていない。様々な楽器のために多くの協奏曲を残したらしいが・・・
 
独奏楽器がまた謎だ。「マンドーラ」はマンドリンのご先祖と呼ぶべき楽器で、このCDのライナーノーツには「リュートの妹」(うまい例えだ)と紹介されている。問題は「口琴」。民族楽器に詳しい方でなければ、この楽器がどういうものか即座にはイメージ出来ないだろう。馬の轡(くつわ)を連想させる小さな金属製の楽器で、先端に小さな突起がついており、口にくわえた状態でその突起を指で弾くと「ビヨ~ン」という感じの独特な音を出す。それを口の中で共鳴させる事で、そして頬や舌の形状を様々に変化させる事でいろいろな音色や音階!が出せる、という原始的な楽器である。世界各地に様々な種類があり、日本だとアイヌの「ムックリ」がその仲間、と言えば分かる方にはわかるだろう。
蛙やバッタなどが飛び跳ねる映像の効果音になりそうなその音色は、実にインパクト充分である。
 
早速聴いてみると曲自体は典型的な古典派スタイルで、仮にただの「マンドーラ協奏曲」であったなら、同時代に大量生産された「ありがちな楽曲」の一つとしてほとんど印象に残らず、 猫丸如きの餌食にもならなかっただろう・・と思われる作品。
ところがここに口琴が「ビヨ~ン」と登場するや否や、様相が一変。曲は謹厳実直な古典派スタイルを崩さず淡々と進行する中、ビヨンビヨンと飛び跳ねる口琴の音色は実に珍妙。何だかスーツでビシッとキメた「厳粛」な集団の中に、いきなりド派手衣装の三波春夫乱入・・・といった風情で、そのギャップが凄まじいのである。そのシュールな世界が堂々2曲、約40分そのままの状態で続くのだから、珍曲&お笑い好きにはこたえられない逸品だ。
 
それにしても「口琴」という楽器、それ自体には音階をコントロールする機能が全く無く、演奏者自身で全てを制御しなければならないという点において、ナチュラルホルンをも凌ぐ難易度最高ランクの楽器と考えられるのだが、その点この盤で登場するマイア氏の妙技はまさに驚異的。 どんな楽器にも「超絶的名手」っているんですなあ。
 
古典派好きの方にもほとんど知られていないと思われるこの珍曲。よくぞ録音してくれました!と感謝したい。思わず口あんぐり、脱力必至のこの迷曲に関心のある貴方、お早目のオーダーを。ただし、すぐに入手可能な類の品物では無いので(私もオーダーから入荷まで3ヶ月位待たされた)、その辺はあらかじめご了承の程を・・・・。

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