猫丸しりいず 第90回

◎ウェルチャー:ハレアカラ 
 
リチャード・チェンバレン(語り)
ドナルド・ヨハノス指揮 ホノルル交響楽団
(NAXOS 8559287)
 
◎R・シュトラウス:アルプス交響曲
neko001.jpg
 
 ルドルフ・ケンぺ指揮 ドレスデン国立歌劇場管弦楽団
(国内EMI TOCE7146/旧規格 ※現役盤はTOCE91073)
 
 梅雨明けし、本格的な夏の到来。
 「夏」といえば「バカンス」であり、「山」だ!「海」だ!というイメージである。
 
古くから日本人にとってお馴染みの「海のリゾート」はハワイだろうが、「ハワイとクラシック系音楽」というと、
ほぼ関連性は皆無という印象が(少なくとも私には)ある。
ところが、ハワイの、しかも「山」をテーマにした面白い作品がある!事を発見。それが今回ご紹介の「ハレアカラ」。
 
「ハレアカラ」はハワイ、マウイ島の休火山で日の出、日没の雄大な眺めで知られ、マウイ島を訪れた人で行かない人はいない
のではないか・・と思われる観光名所。「ハレアカラ」とはハワイ語で「太陽の家」を意味するが、
ポリネシアの神話に神様マウイが一日を長くしようとして太陽をここに閉じ込めてしまった・・・という物語があり、
それが由来らしい。
 
まさにそのオハナシを材料にした、語り手を伴った管弦楽作品がこの曲。作曲者のダン・ウェルチャー(1948~)は、
ロチェスター出身のアメリカの作曲家。同世代の作曲家の中では非常に高い演奏頻度を誇る・・・との事だが、
以前この連載でとりあげたマイケル・ドアティと同様、アメリカ以外ではあまりお馴染みでは無い人だ。
1990年にハワイ、ホノルル交響楽団の「コンポーザー・イン・レジデンス」となった事の答礼?として1991年に作曲された
「ハレアカラ」。「ゲンダイオンガク」的な晦渋さはカケラも無く、ハワイの民族音楽をふんだんに取り入れ、
この上無くわかりやすく面白く書かれた逸品だ(「グランドキャニオン」ハワイ版という感じ)。
 名優リチャード・チェンバレンのナレーションがまた実に素晴らしい。閉じ込められてしまった太陽が、マウイに向かって
「わかったよ、マウイ。で、お前さん、俺にどうしてほしいんだよ」と呟く場面など、情景が目に見えるようで
ニヤリとさせられる。明快で聴きとりやすい発音もサスガだ。
 
尚、この盤は当初マルコポーロから出ていたものが、NAXOSの「アメリカンクラシックス」に移行されたもの。
カップリングの「クラリネット協奏曲」も面白い。後半の「ベニー・グッドマンの名によるブルースとトッカータ」
が痛快の一言!
 
「山」がテーマの楽曲には、他にホヴァネスの「セント・ヘレンズ山」等もあるものの、意外に数は多くない。
そんな「山クラシック」の「最高峰」として聳え立つのが「アルプス交響曲」。
一連の交響詩や「サロメ」「ばらの騎士」を書きあげた後のシュトラウスが、その熟達のワザを駆使して描いた一大絵巻。
この曲の凄い所は、徹底して「描写的」でありながら、決して音楽が「浅薄」にならない事。後半の嵐の場面で、山登りの途中の情景が逆向き&短縮されて、嵐の情景をバックに演奏されるところ(つまり大急ぎで下山している事を表現している訳だが)には、この人の究極の職人芸を感じさせ、いつも感服してしまう。
 
私が最初に聴いたこの曲の演奏が、ご紹介のケンぺ盤。これを最初に聴いてしまった事は、ある意味で「不幸」であった。
その後に聴いた様々な演奏が、どれも物足りなく感じられるのである。確かにもっと音質の良い、技術的にもウマイ録音は幾つもある。しかし、この「木造」と言いたい素朴な力強さを持ったケンぺ盤を凌駕する演奏には出会えていない。「嵐」の場面も手練手管を用いない直球の表現ながら、手に汗握るド迫力! 永遠のスタンダードたりうる超名盤だ。
あともう1点挙げるなら、ショルティ&バイエルン放送響のDECCA盤。冒頭の日の出の情景が終わって、登山が始まる時の山への「ロケットスタート」ぶりに大爆笑。スタートしてから「滝」までケンぺが8分30秒要しているところを、ショルティ先生なんと7分ちょっとでご到着! 皆様、ショルティとの登山は「超健脚」でない限り息切れします。
 
私にとっては今回の2曲、「シェエラザード」や「惑星」と並んで、夏になると何か聴きたくなってしまう名曲。
こんどお店に看板出してみようか。「アルプス交響曲。始めました」

diskunion新宿classic   猫丸

Check !!


↑↑↑新宿クラシック館以外の新宿エリア各店情報はこちら!↑↑↑

Entrance







Topics






About


 

diskunion Link








 

















Calendar

10 2017/11 12
S M T W T F S
1 4
5 7 8 10
12 13 14 15
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30

Search

カウンター

Copyright © diskunion Shinjuku Classic-Kan All Rights Reserved