猫丸しりいず第95回

●猫丸しりいず第95回
 
◎アルファーノ:交響曲第1番&第2番
 
イスラエル・イーノン指揮 フランクフルト・ブランデンブルク州立管弦楽団
(独CPO 777080-2)
9c7845ff.JPG

フランコ・アルファーノ(1875~1954)というイタリアの作曲家をご存じだろうか?
 
即答出来る方は多くはないだろう。しかし『プッチーニの「トゥーランドット」を補筆完成させた・・』というヒントを出せば、そういう人もいたっけなあ・・・と思い出すかもしれない。
 
ただ、「トゥーランドットの完成」という大仕事を引き受けてしまった事は、皮肉にも彼の作曲家としての評価には決してプラスにはなっていないようだ。彼の補作に関しては、初演指揮者のトスカニーニが色々「難癖」をつけて様々なカットをさせた上に、実際の初演の際にプッチーニが自分で書いた「リュウの死」の箇所までで演奏を止めてしまって、アルファーノの補作部分を演奏しなかった・・・というエピソードが余りにも広く流布してしまっている事が、彼の評価には相当不利に働いているように思われる。
 
しかし、私はアルファーノや、モーツァルトの「レクイエム」を補筆完成させたジュスマイアには非常に同情する。「ビッグネームの作曲家の最後の作品を完成させる」という、重圧のかかる上に誰がやっても何かしら批判されるのが分かっているような「損」な仕事をあえて引き受けた挙句、やっぱり「B級」的な扱いを受けてしまった二人。確かに「ここまでが作曲家自身が書いた箇所」という事実を認識した上で、補筆部分を厳しい耳で聴いてみれば、そこには多少「違和感」みたいなものが感じられるのは事実。でもそれは「本人が書いたのでは無い」以上、ある程度は止むを得ない事。
 
それに、彼らに課せられたのは例えば「マーラーの第10番の完成」のような、「研究論文の発表」的なノリのものではなく、限られた時間の中で作品を上演可能な形に整え、しかも成功させなければならないという、極めて現実的でシビアな課題。結果として、二人が完成させたニ曲が超有名曲として君臨している事は、彼らの大きな功績であり、もっと評価しても良いのではないだろうか。アルファーノも多分、苦心惨憺して作った補筆版を全然評価してくれないトスカニーニに対しては、「そんなに文句があるなら、お前がやってみれば良いじゃないか!」と内心ハラワタが煮えくりかえっていたに違いない。
 
そんなアルファーノの作品にも、ようやく最近陽が当たってきて、「作曲家」としての彼の業績がマトモに評価される土台が整ってきた。「シラノ・ド・ベルジュラック」や「復活」(トルストイの原作)等は以前から上演されていたようだが、今回とりあげるのは珍しい彼の「交響曲」。「第1番」は1912年にエットーレ・パニッツァ(後に渡米し、メトロポリタン・オペラの名指揮者として活躍した人)の指揮で初演された作品だが、始まった途端に「アーッ、なるほど!」と声が出そうになった。私が「トゥーランドット」の補作部分が始まった時に感ずる、プッチーニとの「微妙なズレ」が、まさに「作曲家アルファーノのカラー」に起因している事らしい事がわかったのだ。
 
この曲、絢爛ではあるが「キラキラ」と輝く感じでなく、ややコッテリした濃さが感じられる。彼の「トゥーランドット」の補作部分には、プッチーニが自身で書いた部分に比べ「同じ色を塗っているが少し絵の具の量が多い」「比重が大きい」というような印象が私にはあった。その「濃さ」が、まさにアルファーノの「持ち味」である事がこの曲からは感じられる。
「第2番」ともども、カゼッラやマリピエロらの作品と並ぶ「近代イタリア産ユニーク交響曲」として、もっと聴かれてよい面白い作品だ。演奏も良い。
 
アルファーノは、そのキャリアの初期にバレエ曲も遺しているそうだ。しかも曲名が「ナポリ」「ヴェスヴィオ火山」。ナポリ近郊出身らしい「超ご当地系」ではないか。「ヴェスヴィオ火山のバレエ」って一体・・・。興味は尽きないのだが、録音は無い模様。NAXOSやCPOあたりで録音してもらえませんかねえ・・・・

 

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diskunion新宿classic  猫丸龍次


 
 

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