猫丸しりいず第101回

◎J・シュトラウス:喜歌劇「こうもり」(英語版/抜粋)
 
オスカル・ダノン指揮 ウィーン国立歌劇場管弦楽団 モッフォ(S)他
(海外SONY/RCA  88697469842)
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私が社会人になりたての頃の大ヒット曲と言えば「ランバダ」。
 
私は最初この曲を日本語のカバーバージョンで聴いて、「何てダサい曲だろう」とバカにしきっていたのだが、ある日オリジナルのポルトガル語でこの曲を聴いた時、頭をブン殴られた様な衝撃を受けた。「オッ!これは!? カッコイイぞ!名曲だ! 同じ曲なのに、日本語版とここまで印象が違うなんて!」。
 
この曲を歌ったのはフランスのグループ「カオマ」だが、その後この「ランバダ」が実は南米ボリビアの歌の無断盗用だった事が発覚し、ひと悶着・・・というオチがついてしまったので、「カオマ版ランバダ」を「オリジナル」と表現して良いのかはチト微妙。
まあ、その点はともかくとして「歌」が「言語」と不可分であり、どんな言語で歌われるかで、その曲の印象が根本的に変わってしまう・・・という事を最も「わかりやすく」感じさせてくれたのは、私にとってはクラシックの名曲じゃなくて「ランバダ」である。
 
そして今回ご登場頂くのは「英語版こうもり」。往年の美人歌手として、未だに日本でも高い人気を誇るアンナ・モッフォがロザリンデを歌った1963年の録音。ちなみにこのダノン盤、ドイツ語歌唱のオリジナル版全曲と、この英語版(約40分の抜粋版)の両方を収録した超お得な2枚組。何はともあれ聴いてみましょう、英語版。
 
聴きなれた「こうもり」が英語になった途端に「ミュージカル」に変身!という感じの面白さである。中でもオルロフスキー公爵の歌には爆笑!「アンタ、ロシア貴族とか何とか言って、ホントはアメリカ人なんでしょ?」と思わず肩を叩きたくなる程。
しかも、この面白さは単なる「ゲテモノ的面白さ」では無く、「これはこれで充分存在意義があるな」と思わせる「面白さ」なのだ。
 
今でこそ原語上演が当たり前になっているオペラやオペレッタ。しかし、1960年代位までは上演する国の言語に翻訳したバージョンで上演される事は(日本も含め)全然珍しい事ではなかったようだ。現に私もドイツ語版の「トスカ」「カルメン」「ボリス・ゴドゥノフ」等の録音を聴いた事がある。その手の音源を聴いていつも感ずるのが「コトバの響き」のもたらす効果の大きさ。「こうもり」が英語になった途端にブロードウェイにスッ飛んで行ってしまったのと同様、上記の名作オペラをドイツ語で聴くと、どれも何だか「ドイツが舞台」の話に思えてしまう。これは「歌」のみならず「ナレーション」に関しても同様で、ドイツ語ナレーションの「ピーターと狼」(ケーゲル盤)を聴いた時には思わず、
「なんだかグリム童話を聞いてるみたいなんだけど」と感じてしまった。また、言語によって母音、子音の「置かれ方」が微妙に違うため、歌った際に違和感が出ないように翻訳者がいろいろ苦労している事も伝わってくる。例えばイタリア語で「ソーニョ」(夢)と朗々と歌われている部分を、英語でそのまま「ドリーム」と置き換えてしまうと何ともヘンテコになってしまうのだ。「言葉」の扱いって、なかなか一筋縄では行かない。ただ、現在は字幕の掲示等の技術が発達し、わざわざ翻訳バージョンで上演する意味が薄れてしまったので、こういう話も早晩「昔話」になってしまう事だろう。
 
さて、ご紹介のダノン盤「こうもり」、その生き生きとした演奏が実に素晴らしい「隠れ名盤」。オスカル・ダノン(1913~?)は旧ユーゴのサラエボ出身の名指揮者。この「こうもり」とチェスキーから出ている「ぺトルーシュカ」(カップリングが何とレイボヴィッツ指揮の「春の祭典」!)以外の盤がほぼ市場では壊滅状態なのは誠に残念。確かチェコ・フィルを振った「シェエラザード」もあったと記憶しているが・・。復活は期待薄か。
「こうもり」の好きな方には、このダノン盤、是非ご一聴をおススメしたい。歌手陣も豪華&充実!

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