猫丸しりいず第102回


●猫丸しりいず第102回
 
◎ミャスコフスキー:交響曲第19番
 
 エフゲーニ・スヴェトラーノフ指揮 ソビエト国立交響楽団
(英ALTO ALC1022)

 
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これまでに何度も「珍協奏曲」をとりあげてきた当「猫丸しりいず」だが、そう言えば「珍交響曲」という切り口で登場した作品が無い。
 
考えてみると、協奏曲に関しては「基本的にはこういう形の曲」という定義付けがやりやすいのだが、交響曲というジャンルの楽曲はそれが意外に難しい。ハイドン、ベートーヴェンといった人たちによって、「これぞ交響曲」的な形式が一旦は形作られたが、その後メンデルスゾーンの「2番」とか、チャイコフスキーの「悲愴」とかの型破りな作品が出て来てその「形式」が揺るぎ始め、マーラー以降はほぼ「何でもアリ」的な状況に陥ってしまった。ここまで色んな形の「交響曲」が出現すると、最早何が「普通」で何が「珍」なのかという境界線を引く事が難しくなる。ゆえに「これは珍交響曲」と言える人材?が少なくなってしまう・・・という訳だ。
 
しかし、そんな厳しい「人材難」の環境下でも、「これは珍曲!」と言える作品はやはりあるもの。それが今回のテーマ「ミャスコフスキーの19番」。この曲、大変珍しい「吹奏楽のための交響曲」である。
 
吹奏楽のために書かれた交響曲は、天下の怪作「葬送と勝利の大交響曲」(ベルリオーズ)をはじめ、パーシケッティやヨハン・デ・メイ等も書いており、他に例が無いという訳では無いのだが、それでも尚この曲が「珍曲」と思えるのは、全部で27曲という膨大な数の交響曲を作った作曲家が、たった1曲だけ書いたあまりにユニークな作品だからである。
 
ニコライ・ミャスコフスキー(1881~1950)の交響曲は、ただ数が多いというだけでなく、ロシア、ソ連の交響曲の中でかなり特異な存在であるように私には思われる。全般的に明快でわかりやすいロシア・ソ連系交響曲群の中にあって、彼の交響曲は非常に「わかりづらい」。「ちびまる子ちゃんの永沢君」ではないが、「いつも暗い声でボソボソ話している」という感じの作品が多く、聴き終っても「一体彼は何を言いたかったのだろう?」という妙な感触が残り、どうも後味が爽やかでない。しかも、「第6番」のように60分以上の大作があるかと思えば、20分足らずの単一楽章の作品もあり、「創作の脈絡」みたいなものがあまり感じられない。そんなこんなで、多くの聴き手はその「つかみどころの無さ」に面喰
い、当惑させられる事だろう。彼の多くの交響曲は1回で「何じゃコリャ」と投げずに根気よく繰り返し聴く事で、ようやくその独特の持ち味がわかってくる・・という点で中々手ごわい作品群だ。
 
そんな中で、この「第19番」は珍しくも実にわかりやすく、聴きやすい作品。曲調がまさに「吹奏楽的」で、「交響曲」という重々しいネーミングが全く似合わない曲だ。特に第1、第4楽章は何だか「近所の中学校の体育館から聴こえて来る吹奏楽部の練習」という風情の軽快さで、いかにも「ブラバン部員好み」という感じなのだが、実際に日本の吹奏楽団(プロ、アマ問わず)がこの曲を演奏しているケースはどの位あるのだろうか?
 
このユニークな傑作は、作曲者の友人の軍楽隊の隊長からの依頼が作曲の契機となり、当初は単一楽章のつもりだったのが、書き進めるうちに作曲者がノッてしまい、結果4楽章の「交響曲」となった作品との事。 ご紹介の盤は、恐らく今後とも唯一の存在となってしまうであろう「ミャスコフスキー交響曲全集」という大偉業を成し遂げたスヴェトラ先生による録音。前述のようにミャスコフスキーの曲は一見晦渋で親しみにくいモノが多い。
これからこの人の作品にチャレンジしようという方には、まずはこの「19番」や「ヴァイオリン協奏曲」のような親しみやすい曲からスタートして、徐々に奥地に分け入る・・・という形をおススメしたい。時間はかかるかもしれないが、徐々にこの人の作品の味わいがわかって来るハズだ。尚、個人的にミャスコフスキーの音源で復活を鶴首しているのが、モートン・グールドがシカゴ響を振った「21番」のRCA盤。タワーレコードさん、如何でしょう?(笑)
 
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