★猫丸しりいず第104回

●猫丸しりいず第104回
 
◎ショスタコーヴィッチ:交響曲第10番
 ハチャトゥリャン:舞踊音楽「ガイーヌ」(抜粋)
 
 ロリス・チェクナヴォリアン指揮 ナショナル・フィルハーモニー管弦楽団
(国内タワーレコード/RCA TWCL3014)
 
◎カバレフスキー:道化師
 チャイコフスキー:イタリア奇想曲 他
 
 キリル・コンドラシン指揮 RCAビクター交響楽団
(米RCA 09026633022)


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CDやレコードを漁っていると、時々正体不明のオーケストラに遭遇する。
 
「謎の楽団」にはおおよそ2種のパターンがある。一つは、既存のオケがレコード会社との契約等の事情で「本名」を名乗れず、「世を忍ぶ仮の名前」で商品を出すケース。ただ、このパターンは演奏家とレコード会社の専属関係が今より遥かに厳しかった1960年代位までの「遺産」と言って良く、今日ではまず皆無と言える。
 
もう一つは、ワルターの晩年の録音で知られるコロンビア交響楽団に代表される、録音専用に組織されたオーケストラ。オペラやバレエ等の長大な曲目を録音する時のように、楽団を長期間拘束する必要がある場合、既存のオケよりもコストが圧縮出来るので、レコード会社には重宝な存在のようだ。
 
ただ、この手のオケが自らその「素性」を明かす事はまずあり得ないためか、楽団の「正体」に関しては昔から色々な憶測が乱れ飛んでいる。コロンビア響に関しても、「ロサンゼルス・フィルのメンバーが主体」とか、「カーメン・ドラゴンの録音で知られるキャピトル響やハリウッド・ボウル響と同じ集団」とか色んな説を聞いた事があるが、結局真相はよく分からない。オケの「歴史や伝統」を重んじる人の(多分)多い日本のリスナーには、この手のオケはあまりにウサン臭く思えるためなのか、録音用オケによる音源は日本では今一つ人気が無いように思われる。
 
しかし私は「録音用オケ」の音源には中々侮れないものが多いと感じている。この手のオケは確かに「お仕事消化」的な演奏に陥る危険も孕んではいるが、腕に覚えのある奏者が集まる事が多いのか、ノッタ時の演奏は凄い。既存の楽団のような「伝統のしがらみ」みたいなものが無い分、実に吹っ切れた快演を聴かせてくれるのだ。
 
「録音用オケ」のエースとして君臨するのが、ロンドンを本拠とするナショナル・フィル。私の推測ではあるが、このオケは恐らくある程度の固定メンバーから成り、録音する楽曲の規模によりエキストラを加えて・・という形態の団体なのではないか。このオケの名盤は数多い。コルンゴルト、ローザ、ハーマンといった映画音楽系の音源が特にナイスだ。今回ご紹介のチェクナヴォリアンの盤は、高校生の時に近所のレコード屋で見かけて大いに惹かれたのだが、当時の懐具合ではとても手が出なかった品物。CD化されるとは考えてもいなかったので、タワーレコードの復刻シリーズで登場した時には卒倒しそうな位に驚いた。チェクナヴォリアンは、あまりに「爆演指揮者」というイメージが一人歩きしすぎている感がある。しかし、この人やバティスは、「爆」でない静かな部分、暗い部分等でハッとさせられる凄い表現をする事が多々あり、単なる「お祭り男」では無い、真の名指揮者だと再認識させられる(単に「爆演」「熱演」だけが売り物ならば、ただのアマチュアだ)。ショスタコーヴィッチの「10番」は第1楽章のシリアスで濃い表現と、第2楽章の猛突進ぶりが実に印象深いなかなかの名演。「オマケ」の「ガイーヌ」は、メロディアのカヒッゼ盤と双璧の有名な爆演から、「レズギンカ」「剣の舞」等特に美味しい曲だけを抜粋したもの。
 
録音用オケによる歴史的名盤と言えるのが、今回もう1点ご紹介するコンドラシン盤。
「RCAビクター響」という名称は、RCAがハリウッドでの録音の際によく用いたものだが、
この盤はニューヨークでの収録なので、ニューヨーク拠点の演奏家たちを集めた臨時オケなのだろうと想像する。相当の腕っこきばかり集めたと見え(「スペイン奇想曲」でヴァイオリン・ソロを弾いているのは何とオスカー・シュムスキー!)、録音の素晴らしさも手伝い1958年録音とは信じ難い鮮烈な名演を聴かせてくれる。中でも「イタリア奇想曲」「スペイン奇想曲」の終結部の猛烈な煽りと、一糸乱れぬ驚異のアンサンブルを見せるオケの猛演は圧巻の一言。聴き終って思わず「ブラボー!」と叫びたくなってしまう興奮の一枚。
 
時は流れ、今や伝統ある一流オケですら、なかなか録音の機会が持てない時代となってしまった。録音用オケが数々の名盤を遺した時代は、そのうち「古き良き時代の昔話」となってしまうのだろうか


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