猫丸しりいず第112回

●猫丸しりいず第112回
 
メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲ニ短調
 
ギドン・クレーメル(Vn)  オルフェウス室内管弦楽団
(国内DG UCCG4332)
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今回のタイトルを見て、「エッ? メンデルスゾーンのあの名曲ってホ短調では?。さてはまだ正月ボケだな、猫丸の奴」と思われた方もいらっしゃるかも知れない。しかし、今回のテーマは、あの有名な「ホ短調」とは別の「もう一つのメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲」である。
 
私がこの曲の存在を初めて知ったのは、PHILIPSから出ていたグリュミオーの独奏によるレコード。メンデルスゾーンの協奏曲が2曲入っているのに度肝を抜かれた記憶が今でも鮮明だ。ホ短調の協奏曲が、1844年という「早すぎる晩年」に書かれたのに対し、ニ短調の協奏曲は1822年の作品で、楽譜が出版されなかった事もあり長らく埋もれていたのを1951年にメニューインが「発見」したものとの事。もともと公開演奏会用の曲では無く、大富豪のメンデルスゾーン家のサロン・コンサートで演奏するための作品と推測されている。
 
有名な「ホ短調」は、ご存じの通り冒頭いきなりヴァイオリン・ソロが全曲で一番オイシイ部分を弾かされる・・・という難曲。始まってわずか10秒位で、ソリストの力量や調子がさらけ出されてしまう実にヴァイオリニストにとって怖い楽曲である(実際、私もこの曲を何度もナマで聴いたが、この冒頭部分に満足できた試しが無い)。
甘美な「ホ短調」に対し、「ニ短調」は全く趣が異なり、オーケストラ(弦楽のみ)の実に峻厳でキリッとしたトゥッティの序奏がとても印象的。その後に続くヴァイオリン・ソロも流麗ではあるもののグッと辛口。それでも決して陰鬱にならずに淀みなく進んでいく音楽は実にこの作曲家らしく、単なる「珍曲」と片付けてしまうには惜しい、中々の名作と感ずる。
 
さてこの曲は、前述の通り1822年の作品。メンデルスゾーンは1809年生まれだから・・・。
エッ?まだ13歳?!。13歳と言えば中学生じゃないか。そんな若さでここまでの作品を・・・。全くイヤな中学生だな(笑)メンデルスゾーン。17歳だか18歳だかで、あの「真夏の夜の夢序曲」を書いてしまった彼なのだから、その点はあまり驚くには値しないのかもしれないが、13歳の作品が既に「メンデルスゾーンらしい作品」に仕上がっているのはヤッパリ凄い。
 
モーツァルトやショスタコーヴィッチの「交響曲第1番」を聴いた時にも思った事だが、多少の「青臭さ」は有るものの、最初期の作品で既にその作曲家の「スタイル」みたいなものがほぼ完成されてしまっている、というのはやはり「天才の証明」なのだろう。特定の、しかも少数の作品にあまりに人気が偏っているように思えるメンデルスゾーンだが、まだまだ知られざる隠れ名作が多いんだな、と実感させる作品である。およそ「子供の作品」とは信じ難いこの曲、一聴の価値は大いにありますよ。
 
さて、この作品の代表盤と言えば前述のグリュミオー盤という事になるのだろうが(この盤、ポーランド出身の名指揮者ヤン・クレンツの数少ない音源としても実に貴重)、今回は恐らく現在最も入手容易な録音と思われるクレーメル盤をご紹介。この盤、ほぼ同時期に作曲された「ヴァイオリンとピアノのための協奏曲」がカップリングされていて、しかもアルゲリッチも共演という豪華版。この豪華コンビが弾いても「作品が演奏に負けている」的な物足りなさはほとんど感じさせない。いかにもクレーメルらしい、ヒネリの利いたアルバムでモチロン演奏も優れているというスグレモノ! オススメです。

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