猫丸しりいず第115回

猫丸しりいず第115回
 
◎バッハ:ゴルトベルク変奏曲
 
グスタフ・レオンハルト(チェンバロ)
(国内TELDEC WPCS21071)
 
マリア・ティーポ(P)
(海外EMI 3817452)
010101.JPG
 
 私、神経質なのか「熟睡」が出来ない性質(たち)である。短時間でも効率良くキッチリ睡眠出来る人は羨ましいし、乗り物の中で爆睡している人を見ると、どうしたら寝床でも無いところであんなに眠る事が可能なのかと不思議ですらある。だから、不眠気味の人の体験談などを聞くと、いろんな点でつい共感してしまう。
 
「不眠関連クラシック音楽」と言えば、これはもう「ゴルトベルク変奏曲」でキマリであろう。
バッハが不眠症に悩むカイザーリンク伯爵から、「眠れない夜のために、お抱えのチェンバロ奏者ゴルトベルクに弾かせる曲を書いてほしい」という依頼を受けて作曲した・・というエピソードで知られる名作である(この曲名は作曲者自身が名付けたものでは無く、後世の人による通称にすぎないようだ)。
 
私は初めてこのエピソードを耳にした時、てっきり伯爵は「眠るための曲」、要するに「子守唄」系の曲を欲していたのだと思い込んでしまい、「こんな名曲を聴かされたら、ますます目が冴えてしまって眠れなくなるんでは無いか」と余計な心配をしてしまった。しかし、そのエピソード(どこまでがホントの事かは疑わしいが)をよ~く読んでみると、伯爵は「眠るため」の曲では無く、「眠れない夜に聴いて気分が晴れるような」曲を所望していた・・という事がわかった。私自身も経験があるが、眠れない夜はとても長く感じられ、なかなか辛いものがある。眠れないのなら、ムリに眠ろうと力まないで名曲を聴いて心を晴らそう、という伯爵の発想は何だかなかなか「前向き」に感じられ、私は「不眠仲間
」として伯爵に大いなる共感を持つと共に、「カイザーリンクさん、アンタも大変だね」と彼の肩を叩きたいような気持になった。
 
ピアノ版、チェンバロ版の双方が親しまれている「ゴルトベルク」。ただ、この曲はグレン・グールド抜きには語れないだろう。この鬼才がいなければ、この曲がここまで人気作になっていたとは考えにくい。その影響もあってか、この曲は「ピアノ派」が今日圧倒的に優勢なように思えるのだが、私は断然チェンバロ派だ。チェンバロという楽器はピアノに比べ、音量も強弱も表情も融通が利かないのだが、その「四角四面」ぶりが逆にこの曲にはピッタリのように思えるのである。愛聴盤は先日惜しくも亡くなった巨匠レオンハルトの旧盤(1964年頃の録音)。楽器の特色に輪をかけたような「キマジメ一徹」という趣きがもうたまりません。
 
基本「チェンバロ派」の私があえて聴くピアノ版名演が、イタリアの名女流マリア・ティーポによる1986年の録音。「どうせピアノで弾くのなら、これ位やってくれないと」とつい思う程、実に明るく伸び伸びとした演奏である。レオンハルトの演奏がどことなく「石造りの聖堂の中で響いている」ような謹厳実直さを漂わせているのに対し、ティーポのそれは、あたかも南欧の明るい日差しの中で自由に羽を伸ばしているといった感があり、聴いていて実に心地良い。奔放とまでは言わないが、かなりユニークな演奏なので、正統派バロック・ファンの方からは「こんなのバッハじゃないよ」という声が出るかもしれないけれど・・・。その名声、実力の割に録音が少ないため、あまり知られているとは言い難いティ
ーポだが、この盤、もう一枚に収録された「イタリア協奏曲」や「「主よ、人の望みの喜びよ」も中々素晴らしく、このピアニストに熱心なファンが存在する事が大いにうなづける。
 
今度「眠れぬ夜」があったら、試してみようか「ゴルトベルク」。チェンバロとピアノのどちらが「効果」が高いか。結果は「ねむれんニュース」(これをご存知の貴方は不眠気味?)にでも掲載しようかな?

diskunion新宿classic  猫丸がぁ!っ・・捕まえてぇ!猫丸がぁ!画面端ぃいい!
 

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