猫丸しりいず 第117回

サンサーンス:交響曲第3番「オルガン付」
 
セルジュ・コミッショーナ指揮 ボルティモア交響楽団
(国内コロムビア/VANGUARD COCQ84307)

 
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ある事をきっかけに、急に日本国内での演奏頻度が急増した名曲がある。
それが今回のテーマ「サンサーンスの3番」。
 
では、その「ある事」とは一体何か。それは1986年の「サントリーホールの開場」である。私と同年代以上のお歳の皆様は重々ご承知とは思うが、これ程にクラシック音楽ファンの多い国でありながら、日本国内には「クラシック音楽専用ホール」が無い、という状態が永らく続いていた。その状態に風穴を開けたのがサントリーホールの開場(その4年前に大阪に「ザ・シンフォニーホール」が出来てはいたものの、首都東京にそういうホールが出来たというインパクトはまさに絶大なものがあったように思う)。ホールそのものに比肩する程の話題を集めたのが、巨大なパイプオルガン。何でも、ホールの設計に関していろいろ助言したカラヤンが、「オルガンの無いコンサートホールなんて家具の無い家
みたいなものだよ」と言った事で急遽設置が決まったものらしく、実に帝王カラヤンの威厳は絶大である。
 
その後、続々とオルガン設置のコンサートホールが出現するようになったが、それに伴い急激に演奏頻度が増したのがこの名曲。何たって演奏効果抜群の上、オルガンが大音量で加わる事でホールのデモンストレーションにもうってつけなのであるから、引っ張りダコになったのも当然だろう。
 
「編成にオルガンの入った交響曲」というのは、マーラーを筆頭に決して珍しい存在では無いが、オルガンが準主役と言っても良い程の重要な役割を負っている交響曲は実に珍しい。
この曲は、ロンドン・フィルハーモニック協会からの依頼で作曲され、1886年に初演されたが、協会は最初からサンサーンスに作曲を委託したのでは無く、なんと彼はグノー、ドリーブ、マスネに続く「第4希望」だったらしい(フランスでは「劇音楽全盛」の時代が長く続いていたので、こういうオペラ・バレエの巨匠と言える作曲家が「指名上位」に来たのも致し方ないのであろうが)。そういう経緯はともかく、作曲家として脂の乗り切った時期のサンサーンスが、「よし、俺のここまでの作曲家人生の集大成と言える大作を作ってやるぜ」と意欲に燃えて創作に取り組んだであろう事は、出来上がった作品の完璧無比ぶりを見れば疑う余地が無い。
 
オルガンを準主役に据えた事は、彼自身が親しんだ楽器だったからという事もあるだろうが、凡人ならば最初からオルガンをガンガン目立たせて「こりゃオルガン協奏曲かよ」みたいな作品に仕立てかねないところを、最大限に効果をあげられる箇所にだけ的確にオルガンを用いている点など、頭脳派サンサーンスの面目躍如である。
 
この曲の名盤は多く、鮮烈そのもののバレンボイム&シカゴ響(DG)や、コーダのシンバルの処理に「さすが!」と驚嘆させるプレートル&ウィーン響(エラート)にも大いに惹かれるのだが、今回はあえて「大穴名盤」のコミッショーナ盤を代表選手とする事とした。
 
コミッショーナ(1928~2005)はルーマニア出身。後半生は渡米してオーケストラ・ビルダーとして名をあげ・・という経歴はアンタル・ドラティを彷彿させる。ルーマニア出の指揮者と言えば、シルヴェストリやチェリビダッケといった「超個性派大変人」が大いに目立つが、コミッショーナは実に堅実で職人的。こういう人は日本で一番人気が出づらいタイプで、それゆえへそ曲がりの小生が一番「萌える」タイプでもある。彼の最大の功績と言えるのが、ボルティモア響を全米屈指の楽団に育て上げた事。このオケはその後ジンマンを指揮者に迎えて一気にメジャーな存在になって行くが、その評価の土台を築いたのがコミッショーナ。そういう意味では、彼はバーミンガム市響におけるルイ・フレモーに似たポ
ジションに居るように思える。
 
このサンサーンスも、実に彼らしい全く奇をてらわない正攻法のアプローチだが、なかなか聴き応えのある演奏に仕上がっていて、この名コンビの貴重な遺産と言える。コミッショーナの盤が日本の市場でほぼ壊滅状態なのは誠に残念!

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