猫丸しりいず第118回

●猫丸しりいず第118回
 
◎サラサーテ:ツィゴイネルワイゼン
メンデルスゾーン:「真夏の夜の夢」~スケルツォ 他
 
ロディオン・アザルヒン(コントラバス)
(露MELODIYA MELCD1000921)
001010.JPG
今回は久々に「爆笑怪演系」の逸品をご紹介。
 
「コントラバス」という楽器は基本的には「縁の下の力持ち」であって、この楽器をあえて「主役」に持ってくる時は、マーラーの交響曲第1番のようにどこかしら「諧謔的」な意味合いを持たせる場合が多いように思う。楽器の特性である「小回りの利かなさ」が図らずもパロディ的な味わいを醸し出してしまうわけだろう。
 
今回の主役アザルヒン(1931~?)は、レニングラード・フィルやソ連国立響等の旧ソ連のトップ・オケで活躍したというロシアの奏者。この盤は1961~1970年にかけて録音された小品集で、レヴィチンのコントラバス・ソナタという珍品以外は全てアザルヒン自身がコントラバスのために編曲したもの。
 
コントラバスの名手のアルバム・・と言うと、多くの方はこの楽器をチェロやヴァイオリンのように軽快に操り、「これがコントラバスか!?」と驚くような妙技を見せる・・・という路線を想像される事だろう。しかし、アザルヒンは違う。彼はこの楽器の「小回りの利かなさ」を全く隠そうともせずに、まさかと思うような作品を料理してみせる。
 
アルバムの最初を飾る「バッハのシャコンヌ」が始まった途端、ほとんどの方は「一体何が始まったんだ」とア然とされる事だろう。野太い音色で、ギシギシと軋むような巨大な音楽は、まるで汗だくの怪物がいきなり乱入してきた如し。そして、3曲目の「真夏の夜の夢」のスケルツォで完全にノックアウトだ。大体、コントラバスという楽器の持ち味の対極にあるような軽快な作品をこの楽器で弾いてしまおう、という根性が最高である(サンサーンスが「動物の謝肉祭」の「象」で、この楽器にベルリオーズの「ファウストの劫罰」の「妖精の踊り」を弾かせた事を連想させる)。この路線の選局としては、もう一曲ロッシーニの「セビリャの理髪師」のフィガロのアリアが入っているが、いずれも独特のギクシ
ャクした進行ぶりに抱腹絶倒。巨大な物体が行く手の全てのものをなぎ倒しながら驀進という趣きだ。
 
「ツィゴイネルワイゼン」に至っては、もう「ヴァイオリンと比べてどうこう」なんて事を言うのがアホらしくなる程の猛演である。この曲がこんなド迫力で鳴り響くとは想像も出来なかった。それにしても、巨大で音程のとりづらいであろうこの楽器をここまで操ったアザルヒンの名人芸、そして偉大なる「芸人根性」にはもう拍手大喝采だ。
 
巨大な音楽、そしてある意味「恥も外聞も無い」偉大な芸人根性・・と言えば、同じロシアの巨匠スヴェトラーノフをつい連想してしまう。「格調高く」は無くとも、ここまで吹っ切れた芸を聴かされるともう痛快と言う他ない。イヤ~、ロシア人恐るべし。
アザルヒンさん、もし1曲だけ貴方にリクエストが出来たとしたら、ぜひクライスラーの「中国の太鼓」をやって頂きたかったですねえ。きっと史上最強の猛演&凄演になったのでは・・・

diskunion新宿classic  疲労困憊猫
 

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