猫丸しりいず 第119回

●猫丸しりいず第119回
 
◎ドヴォルザーク:謝肉祭、水の精、チェロ協奏曲
 テデーン(Vc)
 キース・バークルス指揮 マレーシア・フィルハーモニー管弦楽団
(BIS CD1276)
 
◎カール・デイヴィス:バレエ音楽「アラディン」
 カール・デイヴィス指揮 マレーシア・フィルハーモニー管弦楽団
(NAXOS 8557898~9)

 
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「先進国」と呼ばれる国々にどことなく沈滞ムードが漂う昨今、アジアを中心とする新興国の旺盛な消費意欲が無かったら、今や世界経済は立ち行かなくなりつつある。
 
クラシック音楽産業もその例外では無い。本家本元であった筈の欧米では愛好家の減少と高齢化に歯止めがかからず、ネット配信への移行も急ピッチで、CD等の「パッケージソフト」の市場は衰退の一途のようだ。そんな中、最後の砦と言えるのがアジア市場。
特に中国は、「子供にピアノを習わせる」事がブームになっているとも聞く(ちょうど高度経済成長期の日本を彷彿とさせるではないか)し、クラシック音楽産業の数少ない有望市場。演奏家に関しても、一昔前は「アジア人」「アジア系」というだけで話題になっていたのが、今やアジア人のトップ・アーティストが多数存在という時代になった。
 
そして、これから大きく伸び得る、刮目に値する存在なのがアジアのオーケストラ。中でも要注目のオケを今回はご紹介。
 
東南アジア地区のオケと言えば、シンガポール響と香港フィルが両巨頭であったが、そこに割って入ったのが1998年創立のマレーシア・フィル。私がこのオケを初めて知ったのは、FMで聴いた2001年の来日公演ライヴ。最初「熱帯雨林とイスラムの国」のオーケストラって一体・・・という単なる興味本位で聴き始めたが、メインのラフマニノフの交響曲第2番の素晴らしい演奏に驚嘆させられてしまい、一発でこの楽団のファンになった(終演後の聴衆の喝采の様子からも「驚き」が伝わってきた)。
 
マレーシア・フィルは、国営石油会社ペトロナスの肝煎りで創立され、オーディションで世界中から優秀な奏者を集めた(何とメンバーの出身国は日本を含む30か国近くに及ぶとの事)「隠れスーパー・オケ」。首都クアラルンプールに聳え立つ88階建ての「ペトロナス・ツインタワー」内のオルガンを備えた立派なホールを本拠とし、活発な活動を行なっている。純クラシックからポップスまで様々なコンサートを開催していて、国際的に名の知れた演奏家も多く登場しているが、チケット代は純クラシックのコンサートでも、30~120リンギット(日本円で約800~3500円)と激安!。ペトロナスの財力がバックにあるとは言え、マレーシアの人々に少しでもオーケストラに親しんでもらいたいという心意気が感じられる

 
既にBISを中心に少なくない数のCDを出していて、マルトゥッチの交響曲やリムスキー=コルサコフの管弦楽曲シリーズ等優れたものが多いが、このオケのお手並み拝見の最初の1枚としておススメなのがドヴォルザーク。「謝肉祭」「水の精」は表情がとても活き活きしており、独奏者のみならずオケにとってもかなりの難物である「チェロ協奏曲」もスウェーデンのチェリスト、テデーンの好演もあってなかなかの名演だ。単に「上手い」だけでは無くて、良い意味で「アマチュア的」な懸命さが演奏から伝わって来るのが誠に好ましい。
 
もう一点は、アメリカ出身でイギリスを中心に映像音楽で活躍する作曲家カール・デイヴィス(1936~)の「アラディン」。クリスマス・シーズン用のバレエ曲として書かれたものだそうで、実にカラフルで楽しい作品だ。作曲者自身が指揮したこのアルバム、このオケの能力の高さが存分に味わえるおススメの盤である。
 
このオケを本拠地のクアラルンプールのホールで是非一度聴いてみたい!その機会を虎視(猫視?)眈々と狙っている不肖猫丸である。

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